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▼2019/02/22:監禁SS

きんぶりさん監禁SSです。ついに…書いちまった。なんかもっとこう、良い感じに書けるようになりたい…。
 夜が満ち、男の部屋にも群青色の闇が立ち込めている。簡素な寝室には、女がかすかに鼻をすする音が聞こえ、続いてキンブリーの浅い嘆息が聞こえる。
「なぜ、泣くんです?」
 女は壁に押し付けられるようにして立っており、手首を頭上で縫いとめられている。伏せた目尻には涙が光り、顎の下まで伝っている。男は目元のそれを優しく拭い、指の背でほんのりと色づいた頬を撫でていく。
 考えなくても分かることなのに、と女は、彼の部下は、唇を噛んだ。
 何度逃げても、彼は追ってくる。あっという間に捕まえられて、拒んだって組み敷かれ、執拗な愛撫にいつも息ができなくなってしまうのだ。
 女は、決して彼のことが嫌いなわけではない。ただ、分からなかった。キンブリーほどの国家錬金術師が、優秀な軍人が、彼女のような平凡な部下に執着することが。
そして、歪んだとも狂ったとも言える愛情を、ひたすらに浴びせられることが。
 女はもう、闇がはびこるこの部屋から出ることはできない。鍵は男が持っているし、念には念をと錬金術で封じてある。手錠やロープといった拘束具もベッド脇に用意されているから、男がその気になれば、すぐに手足の自由を奪われることになるだろう。
 頬を撫でていた指が、紅い華の咲いている首筋に触れる。女はきゅっと目をつむり、首をすくめた。
 キンブリーは彼女の耳元で、口の端を愉快げに吊り上げた。
「もう逃がしませんよ。貴女はもう私の手の中にいる。どう足掻いたとしても、誰かに助けを求めても、決して逃げられません」
 女はかぶりを振り、か細い声でいや、と鳴いた。
 キンブリーは喉の奥で笑い、首筋の華にゆっくりと舌を這わせた。
「ぁっ……」
 びくりと肩を震わせた反応に気を良くしたのか、彼は顎をすくい、そのまま彼女の呼吸を奪う。舌を挿し込まれ、器用に絡め取られ、充分な抵抗もできずに、彼女の膝はがくがくと笑い出す。
 どうして。どうして。
 彼女の切なる疑問は、清らかな雫となって頬を滑った。
 頭の中では、濁った思考の渦がぐるぐると巻き起こっている。答えの見えない疑問を自分にぶつけることに、どこか怯えてもいた。
 どうして。どうして。どうかしている。こんな風に求められて胸が疼いてしまうなんて、ありえない。どうかしている!
 自分の変化に気づいてしまい、彼女は絶望して小さく喘いだ。
 闇の中で女の涙だけが、流星のようにきらりと流れていく。


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