▼2023/03/17:ハガステ記念
と、キンブリーの日記念(遅刻)の記念SSSです。あのセリフで、どうしても書きたかったんだ!続きを読むからどうぞ。
※ハガステ台詞ネタバレ注意
第五研究所崩落の爆発音で、私の胸は春の暴風のように激しく踊りました。
枷をはめられた手は不自由ではあれど、今の私は、この境遇すら忘れるほどに自由だったのです。
「静かにしろ、キンブリー」
でっぷりと太った髭面の看守が、胸の高鳴りに水を差しました。だが、それすらも別段気になりはしません。
この心震える振動音に、ありし日のイシュヴァールのハーモニーを重ねれば。
「……狂ってやがる」
「狂っていなければ、世界の美しさは分かりませんよ」
そうです。狂っているからこそ、人々が忌み嫌う爆発音にまで、確かな『美』を感じる。異端であるからこそ、人々が到底理解できぬ『悦』に浸ることができる……。
すべては、狂っているからこそ、私であるからこそ、叶う歓びなのですよ。
「……ですが、まあ」
看守の過ぎ去る足音とともに、私の呟きが牢内にぽつりと落ちました。
「たとえ狂っていなくとも、美しいと感じるものもあるでしょうね」
記憶の中の懐かしい笑みを、ふと思い出しました。
私をとりこにした、あの声、あの姿、あの表情……。
……誰のことか、ですって? ああ、失敬。あまりに察しが悪いので笑ってしまいましてね。
無論、貴女のことですよ。貴女の他に、いるとでも?
――私の愛しの花。
また逢える日を、この鉄格子の楽園から、心待ちにしていますよ。
_____________________________
(20230317)
ハガステ登場おめでとう記念andキンブリーの日(ホワイトデー)です! 「狂っていなければ、世界の美しさは分かりませんよ」という舞台オリジナル台詞が好きすぎました。