この胸の高鳴りはお酒のせい


本当に愛されるとはどういう事なんだろうか。

私は、言えば綺麗でもなく可愛くもなく、頭が良い訳でもなく、運動が出来る訳でもなく、スタイルが良い訳でもなく、至って普通の女だ。でも、笑顔と愛嬌はある。それだけだ。そのせいか、今までの男運は頗る悪い。
DV、既婚者(騙されていた)、モラハラ、ヒモ、浮気など。恋愛だけで言えば、まるでドラマのような人生だった。ここまでくれば多分というか、確実に私は都合のいい女だと思われていたと確信に近いものを感じている。自分の恋愛をネタにし書籍を出せば売れるんじゃないかと、本気で考えた事もある。今は笑い話に出来ているのが、せめてもの救いだ。過去から何も学んでいない訳じゃなかった。でも、同じ過ちを繰り返してしまうのは何故なのか。




その頃、私は一人でお酒を飲んでいた。友人がいない訳ではない。ただ、何となくひとりでいたい気分だった。そんな私の気分を知ってか知らずか、お店が徐々に人で賑わい始め密度も高くなってきた。そこまで広くないここでは、相席することは普通のことだった。


「隣いいですか?」

「はい…」


その顔を確認せずに大した興味もなかった私は、前を向きながら答えた。横に座ってから気付いた。多分、抑えてくれてはいるのだろうが強い霊圧だ。ちらり、視線を向ければそこに居たのは九番隊副隊長、檜佐木修兵さんだった。
その瞬間、血の気が引くのを感じた。何とも無礼な態度を取ってしまったのか。


「先程は檜佐木副隊長と確認せず、無礼な態度を取ってしまい、本当に申し訳ありません。」

「あー、そんなん気にすんなって。仕事中じゃあるまいし。」

「しかし…」

「じゃあ、そこまで言うなら、今日は俺に付き合って、お酌してよ。」


いつもの鋭い目付きとは違い、優しく目をして微笑む檜佐木副隊長を見て、胸が高鳴ったのをお酒のせいにした。