清廉潔白な汚点
「自分がされて嫌なことは、他人にもしちゃいけません」
幼い頃、『大人』に散々かきくどかれた言葉だ。
嘘つきは泥棒の始まりなんかよりもずっと身近で、忌避すべき他人との争いの火種を、少しでも減らすための処世術であるその教えは、幼い私にはとても合理的に聞こえた。
そして今もなお、私の中で深く根付いている。
――けれど、その教えを説いた『大人』の年齢になった私は思う。
教えを遵守し、それによって返ってきた結果を目の当たりにし、身に受けて、身に染みた。
そして気がついたのだ。
「ああ、これは間違いだ」と。
他人と関わるための、本当に大切な処世術は、人に嫌なことをしないという清廉潔白さではない。
この『大人』の世界で生きていく為には、子供の頃の無垢な教えはむしろ争いを招く。
本当に必要な教えはこうだ。
「他人に嫌なことをしても、そんな自分を無条件に守ってくれて、貴方が嫌っている他人を理不尽に淘汰(とうた)してくれる味方を作ることだ」
そうだよね? ねえ、私を【淘汰した加害者達】(みんな)?
いいかい、よくお聞き。大人の世界は――クソ汚ぇんだよ。
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