かたわれ時の矛盾
かたわれ時の、仄明るくなった空が好きだ。
全ての影を吸い込んだような暗い空と、僅かな光を反射してほんの少しでも色と形を誇示しようとする木々や建物、そんな夜を反転させる、一番明るくて、一番物静かな、 影の濃い時間。
いつもは影を作る側の聳えるものたちが、姿勢をそのままに影そのものになる様が、私はとても好きだった。
こんなふうに、全てのものが反転してしまえたら。
地面と空だけが明るくて、人も木々も建物も全部暗くて。いい事が悪いことで、悪いことがいい事で。
そんなことをふっと考えて、今日も色を取り戻した木々や建物を見て、やめる。
どうせそうなったら、私は生きていけないだろう。
常識が反転したって、私が好かれることは無い。
――私は、正しいが故に、いい事をしているが故に、悪いと言われるのだから。
今正しいことが悪いことになってしまったら、結局、私は悪いことをしているとして、淘汰されるだろう。
この矛盾が、私の心を翳らせる。
それは、心が影を作っているのか、それとも心が影そのものに染まっているのか。
仄明るい正しさの中でぼんやりとしている私の心も、こうやって日が昇れば少しは色や形を誇示できるだろうか。
――そんなことを耽っていると、ほら、朝がきた。
太陽のお目覚め。
私は今日も、こんなひと時を美しいと思う心を、正しいのだと笑って生きる。
やあ――おはよう。
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