「あの、洞潔」
「何でしょうか」
洞潔が帰ってきてから、酒呑童子とともにいると必然的に洞潔と過ごす時間も増えてきた。
名前は思っていたことを口に出した。
「えっと、もっと気軽に接してもらえると嬉しいんだけど……」
「名前は私の恩人です。それはできかねます」
困ったように思わず酒呑童子を見ると、酒呑童子は笑って言った。
「洞潔、恩人の頼みを聞いてやれないのか?」
「酒呑童子様……。……わかりました。……名前、これでいいか?」
「あ、うん。そのほうが落ち着くかな」
にこりと名前が笑うと、洞潔も少し笑った気がした。