ハッピーエイプリルフール!

★注意
※「KING OF PRISM by PrettyRhythm」クロスオーバー(?)夢です
(知らなくてもたぶん大丈夫です。少しネタバレ)
※「恋人は理科の先生」設定で、理科の先生(キュウビ)と恋人設定
※かっこいい理科の先生とキュウビはいません
※いろいろ間違っているかも
※なんでも許せる人向け


雨上がり。
学校の屋上から虹のかかった空を見上げる。
眼下には虹を見つけてはしゃぐ子供たち。
「あ、ここにいたんですね」
屋上の扉が開いて、女性の声が聞こえた。
ボクの恋人――名前だった。
「先生は屋上が好きって聞いて……」
はにかむように笑う彼女は花のように愛らしい。
「キミに先生って呼ばれるのもいい響きだね」
あっ、と気づいたように彼女の顔が赤くなる。
照れる彼女をからかうのも楽しいが、今はやめておくことにした。
「ほら、虹が出ているんだ」
「あっ、本当だ。綺麗ですね。ふふっ、今日は何かいいことあるかも」
二人で並んで虹を見上げる。
と、突然虹の光が強くなった気がした。
キラキラと七色に輝く虹の道がスーッと学校の屋上に向かってかかる。
ひときわ虹の光が強くなった瞬間、二人は七色の光に包まれる。
パッと光が消えた瞬間、二人の姿は屋上から消えていた。


目を開けた瞬間、彼の前に大歓声とともにさらに眩い光が目の前に飛び込んでくる。
「なっ、なんだここは……ッ」
何かのライブ会場のようだった。
ステージの上では三人の青年がスケート靴をはいて、ステージを滑りながら歌っている。
「名前もここにいるのか……?」
辺りを見渡すが、彼女の姿はない。
立ち見席のような場所だ。
人が一人消えようが気にはしないだろう。
キュウビは人から本来の妖怪の姿に戻る。
上から彼女を探そうと、舞い上がったときだった。
ステージのうちの一人ーーコウジと呼ばれている青年が宙へと華麗にジャンプを跳ぶ。
その瞬間、目の前の景色がパッと切り替わる。
夏の夜空。
青年の小指に巻かれた赤い糸が空へと引き上げられていき、パッと夜空に花火が打ち上げられる。
『ーー赤い糸、夏の恋ーー!』
その瞬間、赤い糸がキュウビの体に巻きつく。
と、同時に感じたのはキュンキュンと胸が締め付けられるような、甘酸っぱい夏の恋の気持ちだった。
「なっ、なんなんだ……っ……これは……!」
心からキュンとしたときに出るキュン玉がキュウビからポンと飛び出していた。
「馬鹿なーーッ……!」
胸のときめきを抑えるように、胸に手を当てる。
歌と踊りとともに、繰り出される不思議なジャンプ。
思い出した心のときめきとともに、目の前の景色がキラキラと光を帯びていく気がした。


気づけばそこは何かのライブ会場だった。
「え、えっ……?」
手には、見覚えのないチケットを握りしめている。
「Over The Rainbow……プリズムショー……?」
頭に疑問符を浮かべながら、どうしてこんなところにいるのか、さっきまで一緒にいた彼はどこにいるのか、色んなことが名前の頭の中を巡る。
とにかく外に出ようとしたとき、わーっという歓声とともにライブが始まった。
ステージの上で歌い始める三人の青年。
彼らがOver The Rainbowなのだろう。
ソロで歌う合間に観客の掛け声が入る。
ポップな音楽に合わせて、紫の衣装を着た青年ーーコウジがジャンプを跳ぶ。
コウジの胸から大きな紫色の大きなハートが現れた。
『胸キュンーーキュンキュンキュン!』
「えっ……!」
まるでハートを撃ち抜かれたように、胸がキュンキュンと高鳴る。
次は、水色の衣装のヒロ様と呼ばれている青年がジャンプを跳ぶ。
『皆の愛、全て受け止めるよ! ーー無限、ハグッ!』
目の前に、ステージ上にいるはずの青年が現れる。
ハグの声とともに、ぎゅっと抱きしめられる。
彼に抱きしめられたような、ドキドキと、幸せな気持ち。
思わずその場に倒れこんでしまうと、周りにも同じように倒れている女の子たちがたくさんいた。
最後に、緑の衣装を着た褐色の肌の青年――カヅキがジャンプを跳ぶ。
『恥ずかしがらないで、早くこっちに来なーーあったかいぜ』
まるで炎のような熱いハートに包まれる。
「な、なんなの、これ……っ……」
胸のときめきと、ドキドキが止まらない。
目の前にある世界がキラキラと輝いて見える。
最後に、三人が同時にジャンプを跳ぶ。
虹のレールに電車が現れる。
行き先は、『for Sakura New Town』。
これに乗らなければ帰れない気がして、慌てて名前は電車に乗り込んだ。
乗客の中に彼の姿を探す。
「名前!」
名を呼ぶ声に振り返ると、手を引かれ、ぎゅっと抱きしめられる。
ドアが閉まり、眩い光が溢れる中を電車が進んでいく。
ーープリズムショーは楽しかった?
最後に、誰かの声が聞こえた気がした。


次に目を開けたとき、そこはさっきまでいた学校の屋上の上だった。
隣には彼もいる。
まだ胸のドキドキが収まらない。
彼を見ると、顔が少し赤く、名前と同じようにドキドキと高鳴る胸を抑えているようだった。
何を話せばいいのかわからないが、とにかく彼に伝えたかった。
「あの、」
「名前」
二人の声が被って、思わず顔を見合わせて笑った。
「なんだか、さっきよりも今の景色が輝いて見えるんです」
「……ボクもだよ」
空を見ると、もう虹は消えてしまっていたが、二人で見上げる空は美しかった。
夕暮れが近くなり、星が瞬き始めた空の中には、さっきまで見ていたOver The Rainbowの三人がまだそこにいるような気がした。


end