飛永雛 谷地仁花





ちびっこマネージャー 村人マネージャー

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仁花ちゃんなひーちゃん、お泊りって何かドキドキするね。


(梟谷学園での合宿初日、慌ただしくも充実した一日が終わりを迎えようとしていた。女子マネ達が寝泊まりする教室には人数分のお布団が敷かれており、明日も早いからそろそろ休もう。という話が出るのは至極当然な流れのように思えたのだが――照明を落とそうとした其の時、他校のマネさん。元気な印象を受ける生川のマネさんがちょっと待って待って!と、焦った様子でストップを掛けて来た。寝る前に烏野のマネさん達と、飛永に伝えることがあるらしく、生川のマネさんを筆頭に森然のマネさん。尊敬する梟谷のマネさん達が笑みを浮かべながら告げていく内容は、各校の選手達に手作りのお守りを贈ろう!というものであった。彼女達は去年、または一昨年の時点で既に経験していたらしく、夏合宿の恒例ともなるお守り作りを飛永たちに教えてくれたのだ。お守りはフェルト素材で作るお手軽なもので、各校をモチーフにした動物や何かを模して作っていくのだとか。材料は各校の分を既に揃えているようで、次の長期合宿が終わるまでには何とか完成させ、選手達に渡したいらしい。基本的にお守りは在籍校の分を作るのだが、今年は梟谷のマネが人数的に余裕がある為、マネの居ない音駒の分も作ることになるそうだ。其れに対して異論も何も無い為、了解です。と、緩く笑んでは課せられた任務を引き受けるとしよう。お守りに関する話が纏まれば後は眠りに就くだけとなるのだが、先輩達が寝る前にお手洗いに出払ったなら、教室に残されたのはチビッ子マネ二名となる。彼女達の話を聞いていてちょっと思い付いたことがあった為、)ひーちゃん…お守りの話、なんだけどね?選手達の分に加えて、マネさん達の……先輩達の分も作りたいなぁ、って、今さっき思ったんだ。先輩達にはすっごくお世話になってるし、其のお礼とか、みんなで一緒に最後までがんばろー、みたいな。そんな感じでお守りを作って、贈れたら良いなぁ…って思うんだけど、如何かな?(彼女の隣に座り込み、念の為に声を潜めてはそんな提案を投げ掛けてみて――もしも色好いお返事を頂戴することが出来たなら表情に喜色滲ませて。)ホント?良かったぁ…選手達は控えの分まで作るから、先輩達の分を加えるのはちょっと大変かも知れないけど……時間的には未だ余裕があるし、期日までには何とか終わると思うの。でね、ひーちゃんには先輩である清水さんのお守りを作って貰って、私は雪絵先輩とかおり先輩のお守りを作るんだけど……ひーちゃん、ブロッコリーとタラコ。どっちが好き?(飛永と彼女が其々お世話になっている先輩達のお守りを作るのは当然のこととして、最後に投げ掛けた質問は、森然と生川のマネさん達が作る予定のお守りのモチーフだ。彼女が何方かの食べ物を言ってくれたなら、飛永は残りの食べ物を作る気満々である。そうしてお守り作りの話が纏まった頃に先輩達が教室に戻って来れば、今度こそ就寝の流れとなるだろう。自分のお布団に向かう前、彼女を見遣っては「…ひーちゃん。話、聞いてくれてありがとう。明日も頑張ろうね。おやすみ。」そう笑顔で告げては、電気消すよー!と呼び掛けてくれるマネさんにはーい!と、元気よく返事をした後、其々就寝の挨拶をして眠りに就くことになろうか。選手達とは別方面で慌ただしくしていたマネ達も、当然ながら疲れは堪っている。彼方此方から可愛らしい寝息が聞こえて来るのは、きっと直ぐのことで。)

雛ちゃん雛ちゃん!へへ、なんだかドキドキもわくわくもするね。

 

(合同合宿初日はドキドキと緊張と嬉しさと興奮の嵐であった。最初は緊張ばかりでなかなか忙しくなく動いてはばてそうになったりとしていたのだけれど、長い休憩時間の最中同学年で身長も似ている他校のマネージャーと仲良くお友達、というには早いのだろうかわからないけれど自分はお友達になりたい!と強く思った彼女と話をすることが出来、緊張も疲れも和らいだことに感謝してもしきれない。休憩を終えた後も、背の高い部員たちにやはり怖さを感じることもあったけれど和らいだ緊張のおかげで頑張ってサポートしようと集中することもできたし、部員たちの試合を多少なれど観察することもできてそのあまりの迫力に目を輝かせて興奮したものだ。―それから、初日の練習が終わり食事の時間となり気遣ってくれた彼女には素直に自分の食べられる量を伝えて「ありがとう、雛ちゃん」と笑顔で伝えたのなら心の中で止まらぬ謝礼を唱えながら周りの部員たちの食事量を二度見しては引きつつも自分もしっかりとその分を堪能して、風呂やらミーティングあれよあれよと終えて、あっという間にお布団の敷かれた教室へと移動して。布団を見たのなら、ふわあと自然とあふれ出る欠伸にやっぱり結構疲れていたのかななんて、お布団へダイブしてそのまま休んでしまおうかと思い目を閉じた矢先に焦った様子で声を上げるマネージャーにきょとりと目を開いて丸くさせ。体を起こしたのなら笑みを浮かべる他校のマネージャーさんたちに悪い予感はしなくとも何だろうと不思議に思うのは当然か。告げられた言葉たち手作りのお守り作りには驚きながらも楽しげに目を輝かせて何度も何度も頷いて「わかりました!」と元気よく答えてみせた。纏まった話にわくわくとした昂る気持ちを抑えながら後は眠るだけだとお手洗いへ向かう先輩たちを見送りながら、準備をしていたのなら残った彼女と二人きり内緒話にはもってこいだ。)うん?お守りの話?……わー、わ!雛ちゃん!それすっごく素敵だよ!先輩たちにお礼を伝えたいし…言葉だけじゃなくて物を贈ったらいつまでも残せるもんね、へへへ、私も大賛成。(こそりと声を潜めながらも頬を赤らめ名案だ!と拳を強く握りしめて。)もちろんだよー。大変かもしれないけど、雛ちゃんと一緒にって思えたら私頑張れるし…それに先輩たちも絶対喜んでくれると思うから。…うん!期日までには何とかする絶対!うんうん、はーい、清水先輩の分ま任せてね、……ふふ、なんかその質問面白いね!えっと、ブロッコリーすき(楽しそうに笑いながらそんな質問に答えたのなら、ブロッコリー作るぞ!と心の中で意気込んだりしてみたり。そうした後先輩たちが戻ってきたのならば、彼女にへらりと柔らかく笑みを浮かべ「雛ちゃん、こちらこそ…今日はいっぱいありがとう。明日も一緒に頑張ろうね、おやすみなさい。」そう返事をして。先輩の呼びかけにお礼と返事をしたのなら、就寝の挨拶とともにお布団へと潜り込もう。どきどきとした合宿も初日が終わる。ああ、やっぱり疲れてたんだな…気が付けばもう夢の世界へ、おやすみなさい。)