八神優理 降谷零
甘えたわんこ部下 トリプルフェイス上司
08
とりあえず、胃袋を掴もうと思うんですがいかがでしょうか、降谷さん?
(基本的料理が面倒だと思ってしまう彼女。常日頃コンビニ弁当で十分なんじゃない?とのことで、料理は作らないスタイルである、だが、そんな彼女が料理を始めた理由―。それは、友達からの一言であった。「今の旦那は胃袋から掴んだの」なんて、言われたのだ。最初はどういう意味だ?と興味なく聞いていた。なんせ、自分の上司と言ったらなんでも完璧にできてしまうと評判だ。そして、潜伏先で美味しいと言われるサンドイッチを作った人。そんな人に自分の手作りを食べさせるなんて恐ろしい物だ。一度お菓子をあげたことはあるけれど、料理とお菓子は彼女の中で別物。なぜか、お菓子作りはできるが料理はいまいちである。彼女の作りだす料理は基本的に甘めな味付けとなってしまうのだ。そのため、好き嫌いが分かれてしまうものとなってしまう。)でも、あんなこと言われたら作りますよねー。そして、どんだけ張り切ったんだって思うくらい量が多いんだけど…、ねぇ…そう思いませんか、お父さん?娘は彼の胃袋を掴みにいけないと思います。(時間が過ぎ―、現在は昼食の時間だ。いつもはこの時間どこかへ行くか外で済ませて戻る彼女がここに居る事に驚いた先輩たち。今日はいつもより穏やかなのであろうか、きっちりと昼食時間をとれそうな面々が覗きに来た。その中に、冗談を言えばすぐにのってくれる先輩が目に入り言葉を紡いだのだ。「お前…無謀な事は止めたらどうだ…?」なんて、真顔で言われてしまえば、)もう!わかってる!って、なんでみんな一緒に食べようとするの?!いつもならバラバラで食べるのに!笑いながらこっちにくるなー!来るなら降谷さん連れてきてよ…いや、ダメ…これ以上彼からのポイント落とせない…それじゃなくなったって…やらかしちゃった後なのにどんな顔して会えって言うのよ…(うなだれていれば、励ます様に頭を撫でてくれる、お父さんのような存在の先輩。ちらりとそちらを見て、爪楊枝に卵焼きをさして先輩の口元まで持っていく。「あま…」っとの発言を聞けば、)わかってるの。だって甘い物好きなんだもん。いっつも言われるのくらい知ってるもん。だから、降谷さんに食べてもらおうなんて思えないんだから…。いや…これで降谷さんも甘い物好きならワンチャンある?…ちょっと、みんなでそんな目で見ないでよ。(むすっとした表情で居れば、ドアが開く音。ちらりと見ればそこには会いたかった彼が。ぶんぶんと手を振って、おかえりなさいと彼へと紡げば、)降谷さんこの時間に珍しいですね。昼食まだなら一緒に食べません?今日めずらしくゆったりしててみんなで食べてる…というか、勝手に近寄ってきたので私に癒しが欲しいんです。だから、隣どーぞ!(と、言う前に自分の隣が空いてる事にきょとんとしてしまうのは許して欲しいものだ。皆が自分の隣を開けたのは何故だろうか?上司だから席を譲った?ん?と首を傾げる彼女には到底理解できないこの状況。ただ、自分にいいように転んでいる事だけは理解できたため表情は笑顔そのものだ。)降谷さんは自分で弁当を作ったりするんです?降谷さんが作った料理なら美味しいんだろうなー。食べてみたい!って…あれ?これだとあたしが胃袋掴まれそうじゃない?あれ?(考えている間にこれまでの会話を誰かが彼に教えているなんて気づきもしないであろう。)と、とりあえず…降谷さん甘い卵焼きとかどうでしょうか!降谷さんの胃袋を掴める気は全くしませんが、笑いのネタにいかがでしょう、か?先輩にはすでに甘いって評価はいただきましたが、美味しいの評価はもらえませんでした!(すっと、自分の弁当のふたの上に一つ卵焼きを置き彼の近くに置く。「お前、俺には問答無用で食べろって言わん限りに口元持ってきたのに」との先輩の発言には驚いたように、しっ!っと口元に人差し指を持っていく。降谷さんにそんな事できません!なんて心の中で叫びつつ、でも…なんて箸で卵焼きを掴む。そこまではできるのであるが―。ちらりと、彼の様子を見るも彼女に彼の心情を読み取る能力なんて持ち合わせていない。視線を戻して、卵焼きを自身の口の中にいれようと動作をおこなうのだ―。)
胃袋が掴めるかどうかは八神次第ではあるけどな。
(夜遅くに帰り朝には出勤する。そんな何でもないように日々を勤務をこなしながら過ごしていく。時には接客業や探偵業、時には黒の組織の一員として、もちろん本業を疎かにすることなく済ませているのだけれど。―稀に忙しさが勝り眠る時間がなく何回か徹夜することもあったが、どうやらそれは部下たちが大いに心配してしまうらしい。それに、また部下の膝を借りる訳にはいかないからな、なんて―。それからは少しは眠るように心掛けてはいるのだけれどそれでも短い睡眠時間はほんの少しの疲れを感じさせる。もちろん、それが嫌だとかやめたいというわけではないのだけれど。―そんな今日は本業の任務を終えたのなら午後お昼少し過ぎた頃から探偵業の依頼が入っている。さて、それまでは書類の整理と…それから昼食と…なんて計画を立てたのならまずは部署へと戻り、扉を開けた。)―?ああ、今戻った。午後からは違う仕事があって戻ってきたんだ、が、…なかなか異様な光景だな。(扉を開けた先には皆で集まって仲睦まじく?昼食をとっている珍しい様子に驚きつつ手を振っている彼女に、「はいはい、」と流しながらも、)そういう八神もこの時間にここに居るの珍しい方じゃないか?…ふ、っ俺の事を癒しなんて言うヤツお前くらいだぞ。…ん、じゃあお邪魔する。(書類の整理は昼食を食べてからでもいいか。予定には入っていたしと頭の中で数秒考えたのなら、空けておきました!とでも言うように空けられていた彼女の隣の席。今日は片手で食べられるようにと簡単に握ったおにぎり数個を持ちそこへと腰掛けようか。)自分で作ったりはするが、こういう場で弁当はあまり持ってこないな…。簡単に食べられた方がいいだろ。……、ん?(彼女の考え事を他所に近くに居た同僚がこれまでの事をなんとまぁ丁寧に教えてくれたのなら、呆れたような、けれど楽しそうな笑みを浮かべて一つ息を吐く。やらかした後だと自覚している彼女に、その時の状況を思い出しては目許を細めて、)なるほど、それで甘い卵焼きか…。俺の胃袋掴む気だったのは驚いたけどな。っはは!笑いのネタ、か…(弁当の蓋の上に乗せられた一つの卵焼きを見たのなら「へぇ…」と小さく声をもらす。と同時に聞こえてきた発言にきょとりと少し目を丸くしたのなら、ふむ、と考えるように顎に手を置いた。―甘いと評価のある卵焼き。目の前に置かれている、いる、のだけれど。彼女の口の中に消えようとしていた卵焼きを奪うかのように腕を掴んでこちらへと寄せたのならそれを食べてしまおうか。驚きで彼女が卵焼きを落としてしまったのなら「ああ、悪い。」と謝るのだけれど、もしもそのまま食べることが出来たのなら卵焼きを咀嚼しようか。―)…確かに、甘いな。(予想してたよりも甘かったそれにほんの少し眉をひそめたのならそれも一瞬。「まずくはないが、」と柔らかく笑みを浮かべて自身が握ったおにぎりを食べ始めるのだろう。さて、周りの反応は如何なるものだったろう。驚いている者もいれば、彼女をからかったのかと取る者もいただろうか。どうであれ、自分含め皆で彼女の反応を堪能しては賑やかな昼食を楽しむつもりで―。)
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