麦 山村喜三太





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設定/関係性:ほぼ初対面。皆本のお屋敷に来る喜三太君を遠目に見たり金吾君からの話で聞くことは多かったため、それなりに親しみを抱いている一方、金吾君と仲がいいことがうかがい知れる話ばかりだったのでそれなりにやきもちも焼いている。金吾君から喜三太君がどの程度麦の話を聞いているかなどはお任せします。

喜三太さん、いつも坊ちゃまがお世話になっています。ささ、たんと話を聞かせてくださいな。


(思っていた通りに坊ちゃまが驚いてくれて気をよくした少女は、相模から離れて近畿まで歩む道のりにも楽しさを覚えていた。ついていく二人が歩調を気遣うようなことがあれば大丈夫ですと意地を張るような強がりで。昔ならばそれほど体力差はなかったはずだったのに、数歩おくれだすようになったのはやっぱり忍術学園という場所の教育の成果か。早く学園につきたいな、と思った。そうしたら、坊ちゃまに置いていかれなくて済むに違いないから。――想定通りの道筋なのか、はたまた自分がいることで休憩の時間が早まっているのか。どちらにせよ道の途中にある茶屋での休憩に相成ったならば、ふうと息をついた。足を引っ張るのはとても嫌なのだけれど、この休憩のひと時が体力的には有難い限り。)あ、喜三太さん。お疲れ様です。(ぷらぷらと椅子の上から足を揺らし、近くの彼に声をかける。)…坊ちゃまは本当に体力もおつきになられましたよねぇ、喜三太さんも坊ちゃまの話で聞くよりもはるかに健脚ですし、これはお二人についていくのは修業が必要そうです。(なんて冗談めかして笑うと、一口水を口に含んだ。)ねぇ喜三太さん、坊ちゃまのお話にはよく伺いますけれど、喜三太さんからも坊ちゃまや先輩方のこと、教えていただけませんか?ふふ、疲れていると人の話が恋しくなるものなのですよ。(忍術学園、という単語は外ではあまり出さない方がいい、とは、彼に聞く話だからそこは素直に従うとして。それでも知りたいこと、これから行く場所のこと、そこで過ごす彼のこと。こうして聞く機会というのは初めてだなと、膨らむ期待をそのままに軽やかに笑うと。)

うん?ぼく金吾のお世話してたかなぁ?あ、でも話はい〜っぱいあるよ〜!あのねあのね!

 

(級友で同室でもある彼の話題から姉のような女性がいるのだとよく出ていた。怖いしぼくより強いんだなんて言われればよくきつい事を言ってくるくのたま達を思い出してしまう。帰ったらそんな女性に会わなくちゃいけないなんて大変だななんて思っていたけれど”姉よりも強くなるために“と頑張っている彼は楽しそうで、とても応援したくなった、変わらずに今でも応援しているのだ。件の彼女とは対面したことはないけれど、何回かの送り迎えで何度か遠目から見たことがある程度だった為怖いイメージも強いイメージもなんだかしっくりはこなかった。――そんな級友と約束をして相模へと一緒に戻り一週間が経った。忍術学園に戻るときも一緒にと言っていたため彼の屋敷まで迎えに来た時、いつもと同じ変わらない、なんて思っていたのだけれどまさか、遠目から見るだけだった彼女がすぐ近くに居て”忍術学園まで一緒に行く“なんて、”くのいち教室“なんて、)ええええ!!(級友と一緒に驚いたことは言わずもがなである。それからというもの、級友とその姉のような人と自分と言うなんとも不思議な違和感のあるような組み合わせで忍術学園までの帰り道を歩んでいくこととなった。―女性と言うこともあって、心配もあったのだけれど強がっているのであろう彼女に気付いたのは級友だった。「ねぇ、」こそっと近づいた顔にひっそりと耳打ちされたのならこちらも、こそっと彼女に気付かれないように。「今回は近道を通らないで普通の道で行こう」との事。そうしよう!にこりと肯定の意を込めて頷いた。これだけでも二人の信頼関係が伺えてなんだか羨ましくも思ったりして。)麦さーん!みてみて、お茶屋さん!ちょっと寄ってこう〜!ぼくクタクタだよ。(近道じゃない道を歩いていれば想定通りお茶屋さんがそこには建っていて、自分も疲れているのだからここは休憩すべきだろうと一つ甘えたように提案しよう。もしも許されるのなら彼女の手を握って引きながらお茶屋へと連行してみせるのか。許されなければそれぞれそこへ向かうこととなるのだろうけれど。―)麦さん!麦さんもお疲れ様ぁ。(楽しそうに元気よく挨拶を返したのならば、にこにこと満面の笑みを浮かべて、)はにゃ、金吾ぼくの話もしてるの?へへへ、なんか金吾が話してくれてるのも嬉しいけど麦さんに褒められると照れちゃう〜。ぼくも麦さんの話はよく聞いてるよ、だから…すぐに抜かれちゃうんだろうな。(忍術学園の自分たちを見たらガッカリさせはしないだろうかと、なんだか不安もあるけれど、彼の言う強い彼女のイメージが固くついていて離れないものだから修行なんてしたらもっと…なんて。)へ?金吾たちのこと?…うん!ぼくでよかったらいっぱいお話しする!あのね、あのね、金吾ったら夜寝る時に急に鍛錬し始めたりして大変なんだよ!最近は慣れたからいいけど、最初は寝不足で寝られなくてね、それからね、先輩は格好良くて…すっごく綺麗な人もいてね!(それでね、これでね、楽しい忍術学園の話は尽きることもない。支離滅裂でころころと変わる会話に彼女がギブアップするまでか、それとも自分の話をされた事に恥ずかしがった級友が止めるまでか、彼女との会話は続いていくはずで。)