ロゼ アーサー・カークランド
03
設定/関係性:まだ己が幼児のようだった時分から、某うるわしい隣国との間で取った取られたを繰り返されてきた。兄妹のようであり、またそれを良しとしない間柄でもあり、反抗期のようなツンケンした態度を取ることが多い。ただ、一時的に一緒に暮らしていた時期(属国扱いのため住み込みメイドのような形であった)には、隣国譲りの料理の腕から食生活全般を担当し、それについては信頼されていた。代わりに紅茶を淹れて貰ってティータイムを楽しんでいたため、ヨーロッパの大陸国の中では珍しく紅茶派でもある。ツンとした態度ではあるが、昔から事あるごとに世話になっていることに間違いはないため、無意識に信頼と好意を寄せてはいるよう。
これでも練習していますのに、まだ貴方の紅茶の味には届かないのですよね…、アーサー。
(単調な毎日を繰り返していると、こういった身である、時間の流れというものに疎くなってしまうのは当然で。特に直近ややこしい仕事続きで忙殺され、時間の流れというものが更に意識の外へと追いやられてしまっていた。本日も、朝から他国との小会議だが―何がしかの事情かで長引き、俗にいうおやつの時間に漸く昼食を口にするという始末。おまけに休憩時間であるというのに、会議に使用している建物の一角、休憩室とは名ばかりの小さな会議室スペースにて、簡単に摘まめるサンドイッチ片手にながら仕事をしているのは、特段誰に言われた訳でもなく、己に根付いた生真面目という性質からきているので更に笑えない。)…そういえば、前の国際会議の時も時間がおしていましたっけ…。(ふと思い出したのは、もう数か月は前の、平和に踊っていた会議のこと。あの時は、偶々隣の席にいた、太陽のような気質を持つ人と話すことが出来た。その時の昼食は、彼が勧めてくれた、瑞々しい赤い実がメインのとても美味しく楽しいものだった。―想い出に耽る程、今のこの状況との違いに物悲しい想いが滲み出してきて。)…嫌だわ、楽しかったことを思い出して気分が沈んでしまうなんて。…疲れているのかしら。(口にするまでもないことだが、口から零してしまえば一層気が滅入ってしまう心地がして、重い溜息をひとつ、淑女らしからぬ大きさで吐いた。だって、この狭い空間には、己以外は居ない筈だったから。――物音に気付いたか、はたまたこの溜息を見咎められて掛けられた声にか。ともかく、自分以外の存在に気付いたのはそんな時。慌てて入口側へ目を向ければ、今日の会議の相手国―見慣れ過ぎた人が其処に居た。)……まぁアーサー、先程振りですわね。でも、部屋に入るのであれば、ノックの一つくらい頂きたかったですわ。(条件反射のように、つんとした顔を繕って返す。勿論、彼の人がノックをしていたとしても先程までの沈んだ自分では聞き逃していた可能性もあるし、そもそもここは公共のスペースであるので、誰に遠慮をする必要もない場所であることは承知している―だからこそ彼の人そのものの名ではない名前で呼びかけたのだから―そのうえで、つい憎まれ口のようなものを叩いてしまう。余り褒められた態度ではないと分かってはいても、どうにも彼に対しては素直な物言いが出来ない。そう、昔から。)…そういえば、二人で話しをするのは久しぶり、ですわね…。(――やはり自分は疲れているのかもしれない。それこそ昔から散々な目を見せられてきた相手だというのに、一時的に一緒に暮らしていた、今よりもっと幼かった時分に、それでも不器用な優しさを見せてくれたことなんかを思い出してしまうなんて。ああ、そういえば昔――と記憶を呼び起こす侭に、ぽつり、口から零れた言葉は、)何だか、久しぶりにアーサーが淹れてくれた紅茶が飲みたいですわ。……って、あ、いえ、違うんですの。その、最近疲れが溜まっておりまして、ちょっと感傷的になっていたと申しますか、昔の懐かしいことを思い出していたというか、美味しいものが欲しくなったといいますか、ってああそれも違いますわ、ともかく、えっと、他意はございませんのよ、ええ!(無意識にでも零れてしまった言葉は、戻すことは出来ない。そして続けざまにぽろぽろと零した言葉はフォローにもならず己の気まずさを悪化させる。そんな己の言葉は、果たして彼の人にどう取られただろうか。呆れられる、引かれる、怒られる、スルーされる。そのどれであっても仕様の無いことだ。それなら幾分か落ち着いた今、今度は丁寧な態度で謝罪の言葉を伝えて、足早に休憩室を去ることにしよう。この後再開される会議が更に気の重たくなるものになってしまうのは、自業自得であるので考えないことにして。――だけどもし万が一、違った反応が、―否定的ではないものが返ってきたとしたら。それはそれで、今度こそ。つんとした態度の形は少しだけ潜ませて、其れ以上の気恥ずかしさを堪えつつも、素直に厚意に甘えようか、なんて。こんな時だけ年下めいた都合の良い展開を、小さく願って―。)
そんな簡単に俺の紅茶の味を再現されるわけにもいかないからな。
(意見が飛び交う踊る会議を行ったり、己の国の仕事に追われたりと日々を過ごしていく。何でもない、やって当然、そんな時間につかれることはない、と言いたいがそんなことも無く疲れを感じることもある。イライラと疲れで何も考えられなくなる前に、そんな時は美味しい紅茶を淹れてゆっくりティータイム、そして一部の国にしか見えないらしい妖精さんたちと会話をして気持ちを和ませたりと己なりに方法を考えてはやり過ごしているのだ。そんな本日、他国との小会議。会議前に喧しい諸国と喧嘩をし募るイライラ。やり過ごす時間もなく感情を隠しながら会議へ挑んだつもり、であったのだけれどやはりどこか抑えきれていないのだろう。気になる意見に口を出してしまったり細かなところを突っ込んだりと子供じみた八つ当たりだ。長引いてしまった会議は一時中断、休憩時間を設ける事となり小さく息を吐く。)ダメだな…少し気持ちを落ち着かせねぇと…。(他国のスタッフに良い意見もあったことをフォローに入れつつ、まずはこの募っているイライラと自分に対する嫌悪感をなくすべく気持ちを落ち着けようと一度会議室を出ようか。―そういえば彼女はどうしているのだろう。彼女とは会議の相手国でもある”ロゼ”の事であるのだけれど。自分が会議室を出る前には既に姿は見えず何処かへ行った様子。何だかいつもよりも疲れていたような、以前のあの会議の時よりもやつれていたのではと心配になるような、そんな―。べ、別に心配とかじゃなくてただただ会議相手がそんなんじゃ今後の支障になるかもしれないしだから、ちょっと気になっただけだ!そう言い訳を頭の中で考えながら、以前の会議でも気にして見ていたことも無意識にあの小柄な複雑な間柄である彼女の姿を探す様にふらりと。――ああ、居た。そこは小さな会議室スペース、昔からよく知る彼女は案の定、この休憩時間に仕事をこなしているようだ。)…本当に、生真面目だな。(ふっと口から出た笑みは、昔を思い出していて、ハッとし口を手で覆った。楽しい事ばかりではなかった、辛い事もあった。彼女にとってはきっともっと―ちらりと見た背中はあの頃よりは大きくて、でも、細い。大きな重いため息が聞こえたのならば、ノックをひとつふたつしたのならその部屋へと入っていき、)淑女はそんなに大きなため息は吐かないぞ。聞いたのが俺だけだからいいものを。(ふっと悪戯気ににやにやと笑みを浮かべながら告げたのならば、まあなんと想像通りのいつも通りと言っていい昔からの態度。ほんの少しの安堵の表情に彼女は気付いただろうか。)あのなぁ、こっちはノックしたからな。英国紳士たるものその辺は…、ったく…気付かなかったのはアリスだろ。(腰に手を当て、そっと息を吐く。ノックに気付かないほどに疲れていたのかそれとも集中していたのか、今の自分では判断することができない、きっと聞いたって彼女が素直に教えてくれるとも思えない。だとすれば…口を開こうとしたその時、)―は、?あ、ああ…そうだな。二人で話をするなんて滅多にないな。…避けてるのかと思ったが…(最後にそうぽつり、呟いて。聞こえていなかったのならば「何でもない」と誤魔化すつもりなのだけれど。ぽりぽりと人差し指で頬を掻いたのならその後零れるように聞こえた言葉に、目を丸くさせ、思うのは昔の記憶への懐かしさと、―)………、〜〜!ぷ、ははははっ!!お前は、…バカだな。その素直になれなさは誰に似たんだ?(お腹を抱えながらくすくすと笑って見せたのなら、他の国が聞いていれば「お前だよ」と総ツッコミが起きそうな言葉を一つ。そうだな、確かよく彼女に紅茶を淹れていた、彼女には料理担当してもらってよく食べていたな。そんなことを考えて、)…俺は、アリスが作った料理が食べたい。…レシピが難しかったらしく、俺のトコにはあの味は継げなかったからな。(そう懐かしい、優しいあの料理を思い浮かべる表情も同じくらい優しく浮かべられて。ちらりと、時計を確認したのなら会議が始まるまではまだ時間はある。それならばとニッと笑みを見せ、)立て、アリス。今から俺が美味い紅茶を淹れてやる、仕事はそれからだ。(そっと彼女に手を差し伸べたのならば手を取るかどうかは彼女次第だ。手を取っても取らなくとも移動する行動が見られたのならば英国紳士の名に恥じぬようキッチンのある場までエスコートをするつもりで。もしも、今でなくてもいいというのであれば素直じゃないななんて呆れるのだけれど。どちらにせよ、昔を懐かしんで小さな彼女へ、)アリスは…昔から素直じゃないな。…生真面目もほどほどにしないと、いつか倒れるぞ。べ、べつに心配とかじゃないけどな!(兄のようなこんな言葉、彼女は嫌がるだろうか。つん、と顔をほんの少し逸らし告げる言葉は、やはり変わらず素直じゃないそれだった。)
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