エリオ シャオパイ
02
設定/関係性:雨の日の夜に、あわてて旅館に飛び込む客。飛行船が出せなかったからと決まって計画性のない突発的な素泊まり客なのだが、持って生まれた幸運なのか泊まりたい日にたまたま部屋が空いていなかった、なんてことがないから、今日も「雨に降られちまった!シャオ泊めて!」と旅館に駆け込んでくる危機感のなさである。ちなみに風呂には来るたびに入っていて、時々変な入浴剤が浮かんでいるのには笑っている。シャオパイちゃんのことは町の他の住民同様に好きだしリンファさんのことも好き。
シャオ〜!マジ助かった!今度うまい中華仕入れたら真っ先に届けるぜ!
(飛行船操縦士としては、そりゃあ依頼があればいつどこへなりともお客様をお連れするが、だからといってお勧めできない日だってあるのだ。それが今日みたいな台風の日だ。師匠から受け継いだこの飛行船の頑丈さは折り紙付きだけれど、風に親しむ船であるからこそ出航できない日というのはあるのだった。そんな日は決まっていく先がある。普段ならば真夜中の雨降りの中飛び入りだが、今日は珍しく午前中に、その旅館を訪ねて行った。)シャオ〜!リンファさーん!今日泊めて!(もしかしたらこんな天気の日だからカエルに往生した誰かの予約が殺到しているかも、だとか。そう行ったことは全く少年の念頭にはなくて、きっと今日もいつも通りに二人の笑顔か、あきれ顔が迎えてくれるだろうと思っている。この旅館が自分が止まるときに満室になったことなんてない。万一満室になっていたとしても、この街の人々はみな優しいからきっと誰かが止めてくれるはずだ。そう思いながらも一番に突撃する先はこの旅館である。何せ、この旅館の看板娘たちの可愛らしさもサービスの質の良さも随一であるとわかっているから。)や〜、今日は参ったぜ、天気急に変わるんだもん。台風明後日くらいかなって思ってたんだけどなあ。(風に乗って進んでいく飛行船乗りであるからこそ、台風や強風、大雨の気配には敏感でいるはずの少年であるのだが、時々こうしてポカをして読み違えて、やべーと笑って旅館に逃げ込むのだった。へへ、と、悪戯がばれた子供のように、あるいはバツの悪さを覚えた小僧そのもので鼻頭をこすってみると、)な、な、今日の入浴剤なんだ?蜂蜜?(なんて、この街の住人の好物を一つ上げて楽しげに、少し悪戯に笑いかけた。独特で良心的な反応を示してくれる彼女の打てば響くような返答は今日も健在だろうか。いつもよりも長い時間を旅館で過ごすこれからの一日が、とってもとっても、楽しみで。嵐の後には恵みが残るというけれど、今この時ですら恵まれていて、楽しくてたまらない少年であった。)
エリオくんは相変わらずのようだ。…中華は楽しみに待ってる!ありがとう。
(ここはこのセルフィアの町の唯一の旅館である。他の町から訪れた旅人が宿泊したり自慢のマーマ目当てに訪れる客も少なくなく時には満室になる事もある程には人気であると言えるだろう。美味しい食事は勿論だが、何より自慢は宿泊客でなくても入ることのできる大きなお風呂、お客様のためにと稀に入浴剤を入れたりして楽しんでもらっているのだ。今日はあいにくの天気ということもあり少しでも宿泊客とこんな天気でも来訪してくるかもしれない客の気分を上げようと特別な入浴剤を入れてくると言うマーマを見送って暫くの事。)あれ、ここに置いてあったはずだが……マーマ!蜂蜜が入ったビン何処かで見なかったか?…あ、ああ!!マーマ何してるんだが!それは入浴剤のビンじゃないって言って、…あ〜全部入れちゃったようだ…。これは蜂蜜が入ってたんだが……蜂蜜風呂もあるかもしれないけどさすがにビン1本分は入れすぎな!!……男女で半分ずつ入れたから大丈夫って話じゃないんだが。(探していた蜂蜜が入ったビンはマーマの手の中、しかも時すでに遅し…中身は空っぽとなっていて温かな湯の中へと注がれたことがわかる形で留まっていた。あちゃあ〜と頭を抱えてそっと湯舟へと顔をのぞかせ少しでも蜂蜜が馴染むようにと腕でかき混ぜる。かき混ぜた、所で支えていた手が滑り、―ドボン、!本日のドジで湯舟に落ちる事となるのは常連客にとったらもう日常となる事柄であろうか。―――それからシャワーを浴びお湯を足したりと工夫を凝らしつつ蜂蜜を馴染ませることが少しでも出来た時に届いたのは一つの連絡、どうやら宿泊予定だった客がこの天気の為来られなくなったためキャンセルをする旨が伝えられた。それは仕方のない事だと頷いていたのならば珍しく午前中に、けれどこの天気を思えばきっと訪ねてくるであろうと思っていた少年がタイミングよく訪ねてきて思わず笑ってしまった事は許してほしい。)エリオくん、来ると思ってたが!ちょうど今一室空いたところのようだ。いつも本当に運がいいから何かしてるんじゃないかと疑ってしまうが…。でも、今日は午前中に来るなんて珍しいようだ!(にひっと楽しげに笑みを浮かべたのならば、ふといつもの彼を思えばきょとりと目を丸めて首をひねるのだけれど、その理由を彼の言葉で察する事が出来たのなら呆れたように腰に手を当ててやれやれとため息を吐こう。)エリオくんがたまにするドジってやつだが。…ワタシたちじゃ分からない気配も敏感に感じるのに…まぁ、部屋は空いてるし台風が過ぎてくまでゆっくりしていくといいな!(此方は変わらずお客様の御もてなしをするだけだと、やるぞ!と拳に力を入れるのだけれど入浴剤の話になったのならばその拳の力は一気に抜ける事となり、びくりと肩を揺らすのだ。ちらり、彼を一度見遣り視線だけそらしたのなら、)―今日の入浴剤のテーマはお肌つるつる甘い蜂の女王気分のようだ。(自分が落ちたからこそ感じた、思ってたよりも多く入っていた蜂蜜入り風呂のテーマを告げたのならばさて彼の反応は如何に。後の感想は、彼が入浴した後にでも聞いてみよう。気を取り直して、本日も旅館”小鈴“は元気に営業しお客様を笑顔たっぷりにおもてなししていこう。)
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