藤本空 仁兎なずな





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今日はみんな遅いですね、にとせんぱい。


(「放課後、いつものとこ集合!」昼休み、可愛らしいウサギのスタンプとともに、ユニットメンバーとプロデューサーの計五人をメンバーとするグループへとメッセージが送られてくる。送り主は勿論リーダーの彼だ。既読をつけた次の瞬間には「了解!」と敬礼をするウサギのスタンプをひとつ、送信した。放課後、廊下を走らないように気をつけながら、いつも練習に使用している部屋へと向かい、不躾にもノックもせずに扉を開けた。――とはいえ、この部屋には基本的に自分たちしか出入りはしないはずなので、さほど問題でもないだろう。)にとせーんぱ……あれ、(室内のスピーカーからはユニットの持ち曲が流れている。クラスメイトと談笑してしまっていたせいで少し遅れたから、既に全員揃っているのかと思っていたのだが、そこでダンスや歌唱の練習をしていたのは唯一の上級生である彼ひとりだった。更にはどうやら集中しているようで、こちらの声に気付いていないらしい。そこでふと湧いた悪戯心。静かに彼の後ろ側に回り込むと自分より少しばかり背の高い彼の目を、両手で覆ってやった。)だーれだ!(―なんて、小学生のようなことをやってのける。特に声色を変えたりなどはしていないので、恐らく犯人が誰なのか、なんてすぐにばれるであろう。その辺りは特に気にしていなかった。彼の答えが正解であろうとなかろうと、すぐにその手を放し、彼の目の前へと移動しよう。)おつかれさまです、に〜ちゃん。みんなはまだ来てないんですね、珍しいなあ…。光くんなんて「ダッシュしてきたんだぜ」なあんて言いながら、いの一番に来そうなのに。(クスクスと笑いながら、スクールバッグから飲料水の入ったペットボトルを取り出し、バッグはそのまま部屋の隅に置いておく。そのペットボトルを彼へと差し出しながら、にへらと笑って見せよう。)さて、今日の練習メニューを先に相談しておきますか!

そうだな…でも、悪い事する子達じゃないし気長に待つさ!

 

(長くもタメになる授業を終え待ちに待った昼休み。クラスメイトは、腹が減ったーと各々食堂へ向かったり購買へ行ったりと空腹を満たそうと動き出している中、弁当を机の上に置いて携帯をいじる仁兎。その表情はどこか楽しげなものであり時折鼻歌まじりに体を揺らす。)放課後、いつものとこ…っと。(5人のメンバーが参加しているグループにメッセージを送ったのなら、すぐについた既読に、敬礼をするウサギのスタンプ。可愛いなぁなんて微笑ましく見ていれば次々に「わかりました!」等と1年生からも返事が届き、皆が確認してくれた事に安堵と共にまたふわりと微笑んだ。うちの子達は本当に可愛いなぁ。そう思いながらのんびりと弁当を頬張るとしよう。――それから放課後。着替えを済ませいつもRa*bitsが練習に使用している部屋へとたどり着いたのなら、どうやら自分が一番始めだったらしい。がらんとした部屋にふっと息を吐き、練習の準備を行う。どんな練習メニューになってもすぐに始められるように、曲の準備等をして、まだ来る気配のない後輩達の事を気にしつつも先に少し始めていようと柔軟を行いダンスや歌の練習をしようか。増していく集中力に、自分の世界を暫く楽しんでいたのなら、ふいに真っ暗になった視界と聞き慣れた声。びくうっと肩を震わせて、)う、うにゃあああ!にゃ、にゃにしりゅんりゃよ!そりゃちん!(声を聴いたのならすぐに分かった存在でも急なことで驚き活舌の悪さを思わず披露してしまうことになる。すぐに明るくなった視界に彼女の姿にやっぱりか、なんてじとりと見遣り、)も〜、そりゃちんやめりょよにゃー…あー、!ちょっと待っておちちゅくかりゃ。(すーはーと深呼吸を何度か繰り返し気持ちを少しずつ落ち着かせたのなら、苦笑い浮かべつつも彼女の言葉に頷いて肯定を示そう。)ん、そうなんだよ、1年生はホームルームが長引いてるのかな?…はは、光ちんならそうなりそうだなー校内を走るのはダメだけど…走っちゃって怒られてるのもあり得る、か?(なんて、顎に手を当て考えつつ、「理由は後で聞くけどまぁ大丈夫だろ!」とへらりと笑みを浮かべたのなら、差し出されたペットボトルにきょとりと目を丸くさせるも一瞬。嬉しそうに「ありがとう。」と笑みを深めて、)おう!皆が楽しく、それでもって強く成長できるメニュー、先に一緒に考えてよう空ちん。(どんなメニューでも乗り越えられるさ。グッと小さく拳を作りけれど力強く言おう。いつまでも向上心挑戦心は上を向いている。)