桔梗 同田貫正国





05

同田貫さん、お気を付けて行ってらっしゃいませ!


(初期刀に続いて初期鍛刀の刀剣男士を修行へと送り出し、この本丸には極になった刀剣男士が2振りいる。以前にも増して頼もしくなった彼らの姿に、桔梗はどこか誇らしげでもあった。さて、次は——と考えていたのだけれども。修行へと送り出す準備を進めていたところ、新たな刀剣男士が仲間に加わり、その対応で修行のことは後回しに。早く馴染めるようにと気にかけるのはいつものこと、暫くは新しい仲間と共に行動することが多くなる。その分、他の事が疎かになってしまうのは、一つのことに集中し過ぎる不器用さが原因で。)同田貫さん!最近、部隊のこと任せっきりですみません……な、何か問題とかはありませんか?(廊下ですれ違いざまに声をかけた。暫く部隊のことを頼みます、と隊長であった彼にお願いしたのは数日前のこと。最小限の出陣命令は出していたが、細かいことは任せきりになってしまっていて、少し心配していたのだ。)彼も慣れてきたと思うので、そろそろ通常通り運営できるかと。ご迷惑おかけしました。(軽く頭を下げ、ありがとうございますとお礼の言葉も付け加えた。顔を上げれば、手に持っていた報告書に視線を落とし。)あ、先にお伝えしておきますね!部隊編成の見直し、入れ替えを行います。新しい仲間も増えたので。……同田貫さんには一旦部隊から外れてもらって、ええと……お待たせしました!(彼の顔を真っ直ぐに見上げて、満面の笑みを浮かべた。次は彼に。そう決めていた。)修行の準備が整いました。……帰ってきたら、今まで以上に頼りにさせてくださいね?(送り出すのは少し寂しい。微笑みながらも、眉尻が僅かに下がったのはそんな心境の表れで。それでも必ず帰ってくると信じているからこそ、笑って送り出すことができるのだ。)

ああ、行ってくる。強くなって帰ってきてやるからな。

 

(修行へと行って帰ってきた初期刀が嬉しそうに気恥ずかしそうに報告に来た姿はどこか誇らしげで頼もしいものであった。それは初期鍛刀も同じことで凛々しく前を見据える姿に羨ましくも感じる程に少しの焦りも抱いていた。あの演練から強くなりたい、その一心であったけれど彼女に急かさないと言った手前修行に行かせてくれと強く言うことも出来ず、二人に率先して手合わせを願ったりしてしまう位には一人で焦っていたのかもしれない。初期刀に「何焦ってんの。主はちゃんと考えて準備してくれてるよ」なんてお小言をもらってはうるせぇ!と舌打ちを送る日々が続いていた。戦場に出れるのならそれでもいい、けれど、頼もしくなった彼らの背を見ていれば置いてかれるような、そんな感覚を覚えて誰に聞かれるでもなくまた小さな舌打ちを鳴らした。―そんなある日彼女より暫く部隊を、と隊長であった己に言伝をしてきた。どうやら新しい刀剣男子が加わったらしく彼女が其方を気に掛ける事、それはいつもの事だったからなるほどと一人納得するように頷いた。何とも不器用な刀剣思いな彼女らしい、人知れず口角を上げたのならば隊長として頼ってくれた彼女に応えるべくもらった出陣命令に沿って戦場へと赴こう――。)おう、こっちはいい。出陣もしてきたが怪我もしてねぇ。後何回か資材を拾う機会があったから幾らか保管してある。……アンタが任せたんだ、自信もって任せとけや。(それから幾日か経ち廊下ですれ違った彼女に部隊での報告をしては、心配そうな彼女にふい、と顔を逸らしほんの少し口を尖らせて、)お、もういいのか?ならいい、迷惑なんて思ってねぇ。アンタが命令出してたからいくさには出れてたしな。…自由にとは言わねぇが。んじゃ、次の出陣がいつになるのか……、は、あ?おい、なんで俺が部隊外れねぇといけな、…!(通常通りの運営、部隊を任されていたとはいえ自由には戦場には出陣は出来ず出された命令場所への出陣と遠征などに留めていたのだけれど、それも今日までかと息を吐き、彼女の采配に任せようとしたのだけれどまさか自分が部隊から外されるとは思わず前のめり気味に彼女の肩を掴んで理由を聞こうとした。そして次いで聞こえた声に真っ直ぐに見た彼女の顔に満面の笑みに、ハッと目を見開く、)……、修行…〜〜〜っ、お、…おっせぇ!っ、無駄に焦ったろうが…。(焦って肩を掴んだ手をゆるゆると申し訳なさげに下げたのなら彼女から視線を逸らした。ああ、アイツ等も修行へ行くときこんな気持ちだったのだろうか。目の前の彼女の表情が彼女の気持ちを表しているようでなんだかそれが心地よくて擽ったい。唾を飲み込み彼女と目を合わせたのなら、真っ直ぐに、)今まで以上に強くなって、驚かせてやるよ。俺の力、アンタに使わせてやる。(だから、待ってろ。そう強く答えた。口許には挑戦的な笑みを浮かべて、―行ってきます。)