桔梗 鶯丸
08
鶯丸さん、炬燵は魔性の道具ですね……。
(冬と言えばやはり炬燵だ。私室に炬燵を置いても良かったが、仕事が疎かになりそうだと断念し、誰でも使える談話室のような部屋に置くことに。現在、休憩と称し近侍を連れて炬燵でまったりとした時間を過ごしていた。湯飲みに入った熱いお茶をずずっと啜ると、ほうっと息を吐き出した。)炬燵って一度入ると出たくなくなりますよね……。(今日の仕事はまだ残っている。そう言うわけにもいかないけれども、心の底からの願望が口をついて出た。テーブルの真ん中に置かれた皿から蜜柑を一つ取る。)炬燵で蜜柑ってどうして美味しく感じるんでしょうか、剥くのが少し面倒ですけど。剥いてもらいたくなりません?(気が抜けているからか、ものぐさな性格が顔を出す。剥き終わった蜜柑を一房口に放り込んで、またほっと一息。)審神者にも正月休みが欲しいです。(もはや休日モード、十分に正月を満喫している。炬燵から出る気配はなく、のんびりお茶を啜っていた。さて、仕事に戻るのはいつになることやら。)
茶も美味くなるしな…なるほど魔性の道具とはよく言ったものだ。
(冬という季節がらいつまでたっても寒い。本丸内は、買い出しに出たときの寒さ程ではないけれどそれでも障子を開ければあの冷えた空気が入ってくるので、温かな美味しい茶が恋しくなるというもの。頭の中は仕事の事そっちのけで既にお茶の事だったりでサボっているも同然のような感じではあるが彼女の近侍となり、なるべく近くで彼女の願いを早く聞ける位置に佇んでいたのならば休憩をするとの事で温かなお茶を用意し彼女と共にある部屋へと足を運ぶ。その部屋には炬燵が置かれており、彼女を先に座らせたのならば自分も炬燵へ入ろうか。冷えていた足元が温まるのを感じながら湯飲みに熱いお茶を入れ彼女へと差し出したのなら、自分も熱いお茶を啜り、)ああ、…炬燵に茶がありのんびり出来ればもう何も言うことはないだろう。(同意するように頷いたのならたっぷりと寛げるこの空気にまったりとしよう。彼女の今日の仕事が終わっていない事は重々承知であるが、叱責も激励もしないのは何より自分ものんびりしたいからだ。他の者が近侍となっていればまた違かったかもしれないけれど。)なるほど、主は炬燵で蜜柑か。俺は茶があればいいんだが…確かにこの皮を剥く動作が面倒くさい。(ふ、と目元を緩めて彼女との会話を楽しみつつ自分も炬燵で蜜柑を味わおうと一つ手に取る。温かな茶に蜜柑、温まる体に休むことを許してくれる主、この空間が少しでも長く続けばと願うばかり。)…そうか…、なら。(そういって先ほど手に取って皮を剥いていた蜜柑を彼女の目前へと持っていき、)もう少し休んでいこう、ほら、炬燵に蜜柑だ。(皮を剥いた蜜柑を彼女の前に置いたのならにこりと笑みを浮かべよう。そして再び自分の分の蜜柑の皮を剥いて堪能するつもりで、もしもまだ食べたいと願うのならまた皮を剥いて彼女へと渡す作業を繰り返すこととなるのだけれどそれは蜜柑もういらないと拒否されるまで続くはず。大きな休みは取れないがこうして少しでも彼女が休まればと。そして自分の願いも少しでも長く叶うことができればと、ただただ幸せそうに目元を緩めた。)
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