倉石舞良 御幸一也
ささやくよきみのむきだしの心に
01
御幸くん、ここってお風呂あるかな?デリバリーも出来るかな?
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名前(ふりがな):倉石舞良(くらいし まいら)
指令:倉石舞良と御幸一也は『指を絡めて踊らないと出られない部屋』に入ってしまいました。
指名キャラ(ジャンル):御幸一也(ダイヤのA)
設定等:前回女子生徒から嫌がらせを受けて、御幸くんの前で泣いて告白まがいのことをしてから、しばらく連絡をやめていた時の出来事。
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(どうしよう。あんな恥ずかしいところ、しかもどさくさに紛れて告白まがいのことをしてしまって――思い出すだけで顔から火が出そうだ。そうこうしているうちに季節は移り変わり、秋になろうとしていた。彼の前で泣いたあの日以降、彼とは会っていない。正確には学校ではすれ違うことはあれど、目もあわせないし、話すこともなかった。ただ、欠かさずこっそり試合を応援することだけはやめなかった。やっぱり野球をしている彼のことが大好きだ。高校生活も残り少なくなっていく中、このまま砂時計の砂が落ちるだけなのか――よく悶々と考え込むようになり、夜もあまり眠れなくなった。)……あ、――あれ…?ここ、は…どこ…?(ぱちりと目を覚ますと、そこは雑貨が散らばっている自室ではなく真っ白な部屋。キョロキョロと周囲を見渡すと、)あ、かずくんだ。ねえねえ、これってやっぱ夢なのかな?かずくんが目の前にいるなんて。……ふふっ!ひさしぶり。こないだの試合もねえ、かっこよかったよ。あの時の9回裏でピッチャーに出したサインってストレートだよね?あそこでその指示はさすがかずくん!って思ったよ。(言えなかった感想を矢継ぎ早に話して。話したいことがたくさんだ。へにゃりと寝ぼけ眼をこすりながら告げては、続くアナウンスがかかってきて、)……ええ?指を絡めて踊らないと出られないの?かずくん、ダンス踊れる?わたしは別に――出られなくてもいいや、(ふふふ、と悪戯っぽく彼に笑った。話すのは本当に久しぶりだった。夢でもうれしかった。)
えー…いや無いし無理なんじゃね?それより倉石ののんきさに驚きだわ…。
(彼女が目の前で涙を見せてからというもの、すっかり話をしなくなっていた。学校にてすれ違い顔を合わせようと、挨拶をしようとしてもそれをさせまいと目すら合わせてくれないのだから、なんだか寂しさを感じてしまう。あの告白のようなものを曖昧にしてしまったのが悪かったのか、そもそもああなった原因が自分にあるからなのか。何にせよ、彼女との距離感が大幅に開いてしまったのだと感じるのに時間はかからなかった。―けれど、試合中。もしかしたらどこかで彼女が応援してくれてるのでは、なんて。また、あのはちみつレモンが食べたいなー酸っぱかったなー、とか考えながら一度応援席を見るのが癖のようになってしまった。その度に同級生にはニヤニヤとされたのだけれど適当にあしらっている。 それから、本日の反省点等を上げ明日の練習の連絡をしたのなら部屋へと戻り、参考書を開いて欠伸を一つ。目を細めてこの間の試合を思い出す。正確にはあの喧しい後輩が言ってのけた言葉を、だが。「あれ、あの人って前…!御幸先輩のとこ来た女子じゃないっすか?あのふわって!ふわって!後傷があって…」最後はぼそぼそと小声になるあたり気を遣ったのだろう。思い当たる特徴にそちらに目を向けるのだけれどそこには遠い誰かの後姿が見られるのみだった。もしかしてだけど思い違いかもしれない、けれど、そうかもしれない。彼女が本当に応援に来てくれていたのかもしれない。今は普通に会えないけれど、それでも、嬉しくて、見つけられなかったのが悔しくて――参考書を閉じたなら、ふわり、視界がゆっくりと、暗転。)……は、ここ…部屋、じゃないよな…夢か…夢にしてはやけに…(ハッと目が覚めて最初に入ったのは白だった。覚えのない真っ白な部屋に驚きつつ体を起こして困ったように腕を組み首を傾げたのなら、部屋の観察をしようとあたりを見渡そうとしたところ声が聞こえてそちらに目を向けたのならそこには、)…!くら、…(あれからというもの距離を感じて、何んとなしに呼び方を苗字に変えていたのだけれど、そこには何の壁もない、少し前の彼女と同じ懐っこさで。ああ…そうか、ここは夢だからか…?そんなことを思いながらへらりと笑みを浮かべて、)俺も同じこと思ってたわ。夢かーと思ったら…まいらが居たから驚いたけど。久しぶり、元気そうで良かったわ。………、は?…え、試合…あ、どうもな。(確かに以前の試合でそのようなサインを出した。そうするべきだと思ったから。けれど、何故彼女が知って…そういえば後輩が彼女らしい人物を見たのもその試合だったか。それにしても、夢にしてはリアルすぎる、俺の妄想なのだろうかと頭を抱えたくなったのだけれど、そこでアナウンスがかかって変な指令に思わず目を丸くするのか。)ちょっと、色々混乱。…いや、踊りなんてキャンプファイヤーの周りで踊るやつ位しか……ふ、はは…!おいおい、さすがに夢だからってのんきすぎだろ、まいら。(こらこら、と軽く彼女の頬を横に伸ばすように優しくつかむのか。「伸びる伸びる、」なんて最初は楽しげだったのだけれど、ふと指先から感じる肌の感触がやけにリアルでパッと慌てたように指を離し、)…、夢…か?本当に…?
お風呂ないの…?どうしよう、わたし匂ってない?大丈夫?
(夢ならばさめてほしくない――けれど、目の前にいる彼はやたら鮮明で。息遣いも感じるし、頬をつかまれた時の体温も感じながら、)かずくん、いじわるしないへ*(楽しそうにからかう彼に異議を唱えるも、そういえば小さい頃もよくこうやって頬を引っ張られていたっけ。フラッシュバックのように思い出す大切な思い出に面映ゆい気持ちで。指が離れたのなら、にへら、と気の抜けた笑みを向けた。)……だよねぇ。だってこれはわたしの夢だったとしたら、かずくんもっと優しいはずだもん。いじわるしないもん。(仕返しと言わんばかりにべっ、と小さく舌を出して。まるで今のぎこちない関係が嘘のように、昔の自分たちのままで。顔を綻ばせながら、)うん、わたしは元気だよ。あの……こないだはごめんね、急に泣いちゃって…。試合、ずっと観てたよ。ううん、…試合っていうよりはかずくんをずっと観てた。(先ほどの言葉にたどたどしく、俯きつつ顔を赤くしながら返事をしては。さて、出られなくてもいいや、と言ったはいいもののトイレもお風呂もないなら早いうちに出なければならないだろう。すくっと立ち上がって、)わたしもキャンプファイヤーのやつしか踊ったことないや…でも、こういう時こそ冷静でいないとねっ!かずくんだっていっつも冷静に試合してるじゃない。ね、踊ろっ!(これ以上二人きりでいたら嬉しい以上に心臓が爆発してしまいそうだ。彼の手をとって、じっと彼の瞳にうつる自身の姿を見ていた。踊るのはいいけれど――指をからめるなんて、どうしたらいいんだろう。)
全然匂ってないから安心しな、平気平気。…、本当だからね?
(楽しげに、けれどどこか戸惑いを感じつつも続いた雑談に夢であれど彼女と話をすることができているという事安堵を感じながら、からかっていたのだけれど。頬を伸ばして上手く話すことが出来ない彼女に笑ったのも束の間、慌てて手を離して、夢と現実の区別に戸惑いを感じるのだ。けれど、その行動に対しまさか仕返しとばかりに言葉が返ってくるとは思わずに目を丸くして、そして、ほんの少しの間を作り口を開けて笑ってみせようか。)…、ははは!そ、そうかよ…!いやー酷いなー俺夢の中だけじゃなくて、いっつも優しくしてるつもりなのに。(からかうように、そう言ってのけよう。どうやら自分は思っているよりこの状況を楽しんでいるらしい。まるで壁が出来てしまったような、そんな関係も話していれば自然と幼馴染で居られるのだから。安堵したように笑みを浮かべて、)ん、体壊してないか心配だった。…それと、その事もまいらが謝る事なんてないだろ?…傷とか残ってないか? ふ、まーたそうやって俺ばっか贔屓しちゃって。なんて、いいよ、これからも穴開くほど見てて。……、今度は俺が一番に見つけるし。(ぽつり、最後そう呟いて。彼女が聞こえていなくても、聞こえていたとしても、聞き返すのなら「なんでもない」と誤魔化すつもりではあるのだけれど。立ち上がった彼女に倣って、自分も立ち上がり、)だよな〜…まあ、命を狙ってるような感じでもないしな……いや、この状況と野球の試合を一緒にすんのもどうかと思うけど。(苦笑いを浮かべつつ、ダンスかーと考えていれば手を取られ驚くのだけれど、それから見つめ合うこと数秒。きょとりと目を丸くするのだけれど、指令を思い出しては、小さく「ああ…」と声を出して。)指、絡めるんだったな。(そう言いながら自分の指と彼女の細い指を絡めて、―所謂恋人繋ぎたるものをしてみせようか。いざ、するとなると恥ずかしいものがあるのだけれど、顔には出さないように、と。)俺、踊りに全く自信ないんだけど、それでも、一緒に踊ってくれる?足踏むかもしれないけど。(彼女の反応を確認する前に楽しげに、恥ずかしさを紛らわすように茶化して、そんなことを伝えよう。)
まぁいっか!御幸くん匂ってても全然気にしなそうだし。……それはそれで複雑だなぁ……。
(ちょっと以前まではこうやって軽口を叩きあっていた。けれど、今はそうではない上にまともに口もきいていなかった。幼馴染とは不思議なもので、喧嘩をしても気まずくなっても、家族と同じようにまた復活してしまうから、切っても切り離せない関係なのだと思った。その上でさらに恋愛感情が絡んでしまっては、どうしてもその感情を隠し通せるものではないと痛感している今。)ふーん……かずやくんの優しさの基準がわかんない。そうやって意地悪してるのはわたしだけで、他の女の子には優しくしてるんじゃないの?(つーんとした口調で返すも、声はどこか楽しげで。自身の恋心は今は置いておくとして、否今は忘れるとして、とにかく彼と話せることが嬉しい。)傷……は残ってないよ。もし、残ってたら……かずくんに責任とってもらおーっと。まぁね、御幸選手推しだから。マスクで顔よく見えないけど、かずくんほどスポーツサングラスが似合う人いないね。……うん、わたし地味だけど……きっと見つけてね。(彼の最後の呟きもしっかり倉石の耳に届いた。影も何もない、とびきりの笑顔を彼に向けては。共に立ち上がって、小さい頃以来触れていない彼の手は昔と違い所謂男性の手になっていた――大きくて、ゴツゴツした手。練習をたくさんしたからかマメがあるのも感じられる。だけど、暖かな手。彼が恋人繋ぎをしたのなら、分かりやすいくらいに顔が熟れたトマトのように真っ赤になって。) ……… なんか、カップルみたいだねっ(自分でもよく話からないことを口走ってしまうのは思考回路がショート寸前だから。早く赤い顔おさまれと願いつつ、おそらく彼に一瞬で見抜かれてしまうのは火を見るより明らか。)うん、踊ろう。足踏んでもいいけど、わたしも踏むかもだからお互い様だね。そして一緒にここを出よう。出ても――また、こうやって手つないでね。(そう願いのようにぽつりとこぼしては、指が絡みあって繋いだ手を強く握って彼のリードに従うようにして踊ろうか。――そうしたらこの不思議な白い部屋から出口の扉が浮き上がってくるだろう――。それを見つけたなら、名残おしそうにしながらも共にこの場を後にするだろう。何がどうなって此処に来たのかまったく見当もつかないが、この出来事によって二人の離れ離れの心の氷を溶かしてくれた。今度は現実世界で、泣き顔じゃなくて笑顔で彼と会えるはず。)
あー…いやまあ、香りは普通に気になるけどな。
(ふと彼女と高校で再会してからの事を思い出す。最初は何ともぎこちないものであったのだけれど今ではまるでこの夢のような空間のようにからかいあって軽口を叩いたり親しくなっていた。どんなに何年離れていたとしても、幼い頃の記憶や関係は変わることはないのだと。以前の件でまた気まずく距離を置くこととなったのだけれど、少し二人で会話を交わせばすぐ元に戻ることが出来る。そんな安定した関係にいつまでも甘えているのは、自分だけか。そんな考えに自嘲気味に笑みを浮かべつつまるで甘やかすようにぽんぽんと彼女の頭を撫でて、)いやいや?俺はさりげない優しさしか提供してないから、それに気づかないようじゃあ…まだまだですねぇまいらさん。こんなん、意地悪なんて言わねぇよ。そもそもこういうこと出来んのはお前にだけだし。(つーんとした彼女にケラケラと、冗談交じりに目元を細めながら話をするのか。再度からかうように頬を片方だけ伸ばしては「嬉しいくせにー」と意地悪く言ってみたりなんかして、しばらく伸ばして満足したのならそっと指を離して、)それなら、安心した…でも、まいらが傷ついたことは絶対に忘れないから。………、ハハッそん時は責任とらないと、かね。 おうおう、やけにストレートで来るなー。好きなだけ推してくれ。……なんてったって、御幸選手はキャッチャーだからな、顔じゃなくてプレイご観戦あれっつって。………、!あ、…あー…絶対見つける。(呟きはどうやらしっかりと彼女の耳に届いていた様子で。なんとか誤魔化そうか、とも考えたのだけれど、じわりとほんの少し赤らむ耳を隠すように頭をくしゃりと掻いたのなら素直に先ほどの言葉を彼女に届けよう。そうして、例の指令をクリアすべく触れた手は小さな頃よりか大きくて細くてあたたかくて何だか緊張してしまう。―けれど、指を絡めた瞬間に分かりやすいトマトのような真っ赤な表情を目にすることが出来て目を丸くした後に、ぷはっと楽しげに笑って見せた。)…カップルでもこんな向かい合って指絡めるなんて事滅多にしないと思うけどな、…どこのバカップルだって話だよ。(緊張はしているものの思っている以上に冷静でいられるのは、自分よりも明らかに顔を赤くしている女の子が目の前にいるからか。呆れた表情をしつつもその瞳にはどこか優しさが含まれているはずで。彼女の考えている事は何となく分かっているつもりだから、)申し訳ないけど、野球以外はからっきしなんで。オーケー、踏んでも恨みっこなしでよろしくな!一緒に出るため、だ。じゃあ、…――ああ、…もう、避けんなよ。(自分と関わることで彼女がまた傷つくことになるかもしれない。それでも関わっていたいと願うのは我が侭か。もちろん、傷つくことのないようにするつもりではあるのだけれど、件の事件は知らないところで起こっていたのだから絶対とは言えなくて、それでも、どうか。―願うように手を強く握り返したのなら出来るだけリードするように慣れてない分綺麗なダンスとは言えないけれどそれでも一緒に踊ろう。もしかしたら、足を踏んでしまうこともあったかもしれないけれど、楽しげに笑いながら「悪い悪い」と伝えるはずで。――どれほどしてからか、白い空間に出口なのだろう扉が浮かび上がっていて、驚きつつも「あの指令って本当だったんだな」と言い彼女と共にこの不思議な空間から脱出しようじゃないか。不思議なまるで夢のような空間、けれど彼女の存在はあたたかさは、あの無邪気さは夢なんかじゃなくて本物で。きっと、彼女の言葉も本物だ。だから、きっとまた、笑いあって話をしよう。そんな願いを胸に。)
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