麦 皆本金吾
一線越えてみませんか
01
金吾坊ちゃま、…………、大丈夫ですか?泣いてませんか?
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名前(ふりがな):麦(むぎ)
指令:麦は『キスしないと出られない部屋』に入ってしまいました。
指名キャラ(ジャンル):皆本金吾(落第忍者乱太郎)
容姿:金吾くんより身長は数センチ高い。着物はしっかりと着ている。
設定等:夏休みに金吾くんが里帰りしている一週間の間の一幕
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(朝起きて、目が覚めたら出口のない部屋にいましたー―なんて、おとぎ話じゃあるまいし。武家に仕える娘として、多少の事じゃ驚いちゃいられない。驚きに状況把握をしようと周囲を見回すのはしばしの間のこと、すぐに自分の隣に倒れている彼に気がつけば、)金吾、金吾坊ちゃま。起きてください。(自分がまだ追い越している体格の彼の肩を揺すって、目覚めを促す。彼がゆっくりとでも目覚めたならば、ほっと目尻を下げてから、意地悪げに口角を上げてみせるだろう。安心したのも確かだけれど、いつもの意地悪を言ってやった方が二人の気持ちもいつも通りに近づくと考えて。)お寝坊さんですね、坊ちゃま。この部屋、私みたことないんですけど、…武衛様の悪戯でしょうか、それとも坊ちゃまの学校の?(なんて下手人捜しを話題にあげて、幼い二人が状況を理解しようとした矢先――降り注いだのは、男の声だろうか。)きすを、しないと、でられないへや。……あ、接吻ですか、……へえ。ふーん。(魚の鱚を思い浮かべた少女への補足のように伝えられた「キス」という言葉の意味。ふーん、と、言葉にならない羞恥と憤りと、それから小狡い気持ちを意図して平坦にした声音に込めて、彼に向けていたずらに笑った。)だそうですよ、坊ちゃま。
な、泣いてないよ!ただ…ちょっと驚いただけ!
(いつも通りの時間、いつものように「また明日、おやすみなさい」そう言って床についた記憶がある。それもちゃんと自分の個室にだ。―なの、だけれど。ゆすられた肩に彼女の声がうすらと聞こえて眠気眼を擦りつつももう朝なのかと目を開けて彼女の存在をまず確認しよう。)ん、麦姉…おはよう…(ふああ、と大きな欠伸をして体を伸ばし上半身を起こしたのなら、ふとそこで部屋の違和感に気が付くのか。そこは出口と言えるような扉もないそんな部屋で、自分の部屋とはずいぶんと違う。自分の置かれている状況が把握することが出来ず驚きで一気に目が覚める事となるのだ。いったい何が起こっているのか、慌てた様子で先に起きていたであろう彼女の方へと視線を向けるのだけれど、不安が大きいもののいつも通りな彼女にほんの少しの安堵を感じて、)…やっぱり、麦姉もこんな所見た事ない、よね…。悪戯ならいいんだけど…ええと…兵太夫と三治郎のからくり部屋とかかなぁ…。でもわざわざ…て、え、何々?!(うーんと首を捻りながら不思議なことを思いつく面々を頭に浮かべていればふと聞き覚えのないどこからか聞こえてくる不思議な声に思わず肩を震わせることに。)え…きす?きすの物まねってこと…?……!む、麦姉!せ、せっぷんて…男の人と女の人が口と口くっつけるやつだよね?…え、それって…ぼくと麦姉がするってこと!?(同じくと言っていいのだろうか、魚を思い浮かべて口をパクパクとするのだけれど、補足とともに彼女が口にした『接吻』という言葉に自分の認識を問いかけて。ここにいるのは自分と彼女だけ、つまり、…そういうことであろう事は何んとなしに察せられて。ぼわっと、顔を真っ赤にしたのならいつもなら平気で見られる彼女の顔も今は見られそうにない。視線を下に落とし恥ずかし気に顔を歪ませ、)だ、だめだよ…麦姉だってぼくとそんな…え、えっと…!ほ、他になんか出られる仕掛けとかがあるかもしれないよ?ちょっと探してみようよ!からくりとかなら絶対仕掛けがあるよ!(ふるふると羞恥で染められた顔で、そんな提案を一つ彼女にそわそわとしながら伝えてみるのだけれど、さて。)
泣いてたら怒ってたので正解です。えらいえらい。
(起こした彼の様子はいつも通りの物だった。寝ているところを悪いかな、なんて思うほどのしおらしさは生憎と持ち合わせていないが、彼が慌てるのにいつも通りを保つ程度の意地っ張りは兼ね備えている。)そうですねぇ、ご近所にこんな白いとこなんてありませんし。ああ、御学友ですか?兵太夫さんたちはこの辺のご出身でしたっけ。(帰ってきた彼が離してくれる一年は組の仲間たちのことは、彼からの話を聞いてよく知っている。何せ彼が話すのを聞くのは、限られた昔と同じ時間の中での楽しみなので。しかし彼らの出身地は、悪戯をしに訪れることができるほどにここから近かっただろうかと首を傾げて。肩を震わせる彼に、声の発信源を探るように周囲に視線を巡らせた。)きすの物まね、私全然自信ないんですが。はい、好い仲の男女の親愛の証ですね。………、そうらしいですね。ここで床に接吻しろ、なんて風情がないですし。(けろりとしたような調子で彼の認識に頷いて、冗談を一つ飛ばしながらも様子をうかがう。顔を真っ赤にして俯く彼をじっと見つめていたならば、)……ふぅん、そうですか、坊ちゃまはこの麦がお相手では不満、と。あまり長引いてしまっては武衛さまも心配なさるでしょうし、接吻だけで済むなら別にそれでいいんですけど、私は。……私、別に金吾坊ちゃまにならそのくらい、いいですし。でも、坊ちゃまがそんなに私と仲良くするのが嫌だっていうなら……(声を震わせて涙声。拗ねたように口を尖らせてから、意地っ張りが決壊するような涙声は、彼が忍術学園に赴く前はしょっちゅうひっかけていた女の武器。つまりは泣き真似だ。―――でも、だけど、彼が即座に「だめ」といったことが面白くなかった。別にそれくらい、彼に許してもいいと思う位には、少女は弟が好きだったから、心に宿る面白くない気持ちは本当だった。)
怒らないでよ…、いや、泣かないけどさ…。
(いつも通りの彼女は、強くて頼もしくてやっぱり安心するのだけれど、それと同時に自分もこれほどに強く在るべきなのだと思い至ることになるのだけれど。名前を出した友の顔を思い出しながら彼女の口にした疑問に、ジッとしばらく考えたのなら小さなため息とともに首を横に振ってみせて、)…こういう不思議な部屋を考えられるのは二人かなって思ったんだけど…確か違うと思う、この辺ではなかったよ。…でも、麦姉よく兵太夫たちの出身地覚えてたね。(学園での話、友達の話、たくさん話がしたくて聞いてほしくて、無我夢中で語ったのは覚えているけれど、それを彼女が覚えてくれていたことが嬉しくてふにゃりと笑みを浮かべようか。―肩を震わせてしまったことに情けなくなりつつも、ぎゅっと拳を握りそわそわと体を揺らし、)きすの物まねってだいぶ難しいと思うけど。……男女の、親愛の証。そ、そうだよねぇ。いや、もしかしたら頓智だと思えば有りなのかも…?(冗談にはえ、へへ。…なんとも乾いた笑いをお届けすることになるだろう。平然と見える彼女の様子に何だか自分だけが意識しているようで、恥ずかしくて、ほんの少し悔しくて、頬を軽く膨らませては、)不満なんて、思ってない。…むしろ、麦姉の方が不満があるんじゃないかって、。(ふいっと、顔を逸らすのだけれど、震えた声が言葉が己の耳に届いたのならパッと勢いよく彼女の方へと顔を向けて慌てた様子で距離を縮めよう。ほんの少し上にある彼女の顔を見上げたならば、)…ぼく、麦姉と仲良くするのが嫌なわけじゃないよ。だって、ぼく麦姉の事好きだもん。でも、せっぷんは、麦姉にとって大事なものだから。…絶対絶対だいじなものだから!だって、…(女の子なんだから、―姉にこんなことを言うのは可笑しいのだろうか?なんだか急に気恥ずかしくなって、グッと言葉を飲み込んだ。不自然にきれた言葉を無かったことにするように、何でもないと言いたげに首を横に強く振ったのなら、)でも、ずっと出れないのは困るし……大事だけど、親愛の証、だもんね。嫌じゃないから、だから…麦姉も本当にぼくとで嫌じゃないのなら、一つだけ、お願い。(顔を赤らめては、そっと彼女の肩に手を置いて。振りほどかれない内はそのまま手を置くつもりなのだけれど。ああ、男としてはなんとも情けないお願いを一つだけ。―)…すこしだけ、屈んでくれる?
女心は難しいものなのです。賢くなりましたね?
(姉たるもの、弟よりも頼もしくなくっちゃいけない。何よりも彼をからかうのが三度の飯より大好きな自分がか弱く震えていたりしたら情けないことこの上ないじゃないか。なんて、半分以上意地っ張りの少女が男勝りな内心を隠そうともしない、いつも通りの様相にて。彼が降った首に、ですよねえなんてゆるり頷いて。)坊ちゃまのお話に出るお二人は確かに愉快な趣味をしてらっしゃって、いっそ教えを請いたいくらいですけど、さすがにここまで来て坊ちゃまに悪戯して帰って行かれるような場所でもないでしょうし。…まあ、坊ちゃまがあんなに一生懸命にお話ししてくれたことですから?優しい私は、覚えててあげないとかわいそうかなあと思ったんですよ。(そこまでのポテンシャルがあってこそ忍者である、野かもしれないが、やはり彼らの存在は可能性から排除していいものだろう。彼のふにゃりと笑う顔にはふふん、とばかりの吐息を漏らして、少し意地悪っぽく語尾を上げて、余計な言葉。彼が話してくれるのが嬉しくて、一瞬でも逃したくなくて、だなんてそんなの、気恥しくってとってもいえやしない。)魚の物真似ですら難しいのに、なんで鱚に限定するんだって話ですよね。外つ国では挨拶にするとかなんとか聞きますが、日ノ本じゃあ特別な男女のするものですね。…無粋ですよさすがに。坊ちゃまにやらせるくらいなら私がやりますけど。(もしも試してみる必要があったとしても、彼にはやらせたくなくて唇を尖らせる。――彼から吐き出された否定に、ほっとした。どうしてだろう。彼が自分が嫌だなんて言うのは面白くない。それは、どうしてだろう。)ここで嫌だなんて言ってたらそのぷにぷにほっぺをカチカチになるまで押しつぶすところでした。私が金吾に不満?なんで?…坊ちゃまと仲良くするのは、望むところなんですけど?(意地悪な言葉を吐き出しながらも、彼のことを名前で呼んだことが動揺のあかし。だって、自分が彼を嫌がったり不満に思うことなんてありえない。自分は昔からずっと、彼のことを大切に思っているのだから。絶対に、彼に直接言ったりはしないけれど。)……仲良くするのが嫌じゃないなら、いいじゃないですか。私だって、坊ちゃまのことは嫌いじゃない…っていうか、まあ、その、すき、ですし、坊ちゃまがいないの、いつもさみしいので、大事なものくれて、あげれるんなら、……………大事だからこそ、坊ちゃまがいいんですよ。これで武衛様や、坊ちゃまのご学友だったらもっと本気で別の方法探してましたもん。(悲しげに目を伏せる演技、だけでなくて。口ごもりながらも大切にひとつづつ言葉にした本心。珍しく表情を赤らめて、いつのまにか彼の方へと視線を向けていた。続く許可の言葉を安堵するように目を細めて受け取ると、方に置かれた手をそのままに、お願いごとに小さく笑う。)はい、喜んで。……どうぞ、ご自由に?(なんて言葉を口にして、少しかがんで目を閉じた。まるで、彼にすべてをゆだねるように。)
女心と関係あったの…?!ちょっと、難しすぎるよ…。
(このような状況でも冷静な姉。この人物に怖いものなど何も無いのではないかと思う程に、幼い頃から彼女が弱っている姿を見たことがない。涙を見せる事はあったがそこには凛とした気強さも少なからず感じられたから恐怖からの涙は見たことがない、だろう。きっと。何故こんなにも強くいられるのだろうかと妬ましくも思ってしまうがその強さの理由を問えないのは男としてのプライドか。何とも嫉妬深げな表情を一度浮かべてしまうのだけれど、友達の話をきちんと聞いてくれていた彼女の優しさを感じてしまえば此方も気持ちがあたたかくなって笑えるのだから。誰よりも強くて頼もしい姉のそんな優しさも十分に感じられるから、どんなに強さが妬ましくてもちょっぴり意地悪でもどうしたって嫌いになんてなれるはずがない。)麦姉がからくり覚えたらなんか怖いからちょっと触れるだけにしておいてね。兵太夫たちもそこまで意地悪な奴らじゃないし!…えー、ぼくそんな一生懸命話してた?確かに聞いてほしくていっぱい話したのは覚えてるんだけど…。(友達の姿を浮かべていたけれど今回の件とは関係がないだろうとわかればほんの少しの安堵を。大雑把に色々な話をしたことは覚えているのだけれど具体的な内容まではパッとしないためにどんな話をしたっけ…と夢中になりすぎたことに照れを感じて頬をポリポリ指で掻いて、)確かに、さすがに魚の物まねは難しいや。ほかの魚と鱚の違いもよく分からないし。 …な、なんか麦姉「せっぷん」に詳しいね。挨拶でするなんて、考えられないや…。え、なんで麦姉がやるの?!そんなことさせたらぼくが怒られちゃうよ!女の子になにをーって!(だから…やめとこう…と結局結論に至るのだけれど。―本心を告げた後、、彼女の言葉が耳に入ってちらりと視線を向けたのならハッとしたように己の頬に両手を当てて守るようにしたのなら、)ぼく麦姉の事嫌なんて思ったこと一度だってないよ。意地悪言うし、たまに怖いけど。一度だってない。でも、ぼくは弱虫だったから。―ううん、きっと麦姉からしたらぼくなんてまだまだ弱虫だから。思うところも、あるのかなって。でもさ、…望むところなの?(嬉しそうに、そう告げたのなら表情を緩めて笑ってやろう。ちょっぴり彼女の変化が見られたような気がして嬉しくて。)うん、…嫌じゃない、です。へへ、なんか麦姉がそうやって言ってくれるの聞いたの初めてかも!ぼくがいないの寂しいのも知らなかったよ、………ありがとう。(彼女の口から出てくる言葉はなんとも嬉しいものばかりと初めて聞くようなものばかり。最初は初めて目にする”らしくない姉“に目を丸くして驚いてしまった訳だけれどふにゃりとはにかんだのなら、愛らしい目の前に居る女の子にお礼の言葉を一つ。情けないお願いを聞いてくれた事と肩に置いた手が拒否されなかった事に安堵しつつ、いつもは少し上にある顔がすぐ前にあることに少しの違和感胸にくすぐったくなって。緊張から逃れるように目を閉じたのなら、そっと彼女の唇めがけて自分の唇を重ねるのだ。―、目を閉じてしまったこともあるだろう、狙いはほんの少しずれて唇の端にキスすることになってしまったけれど数秒、もしかしたらもっとかもしれない時間。突如ゴトン、と室内から聞こえた音。パッと肩から手を離し恥ずかしさからか顔を真っ赤にしながら数歩後ろへと下がるのだけれど激しい胸の鼓動が落ち着くことはなさそうだ。―聞こえた音の方へと体を向けたのならそこには先ほどまでなかったぽっかりとした穴が壁に出来ていて。)む、麦姉!あれ、出口かな?はやくでよう!(驚きつつも穴を指さしつつ彼女の方を気恥ずかし気に伺いながらそっと手を取り引いてその穴の前まで拒否されることがなければそのまま歩いていくつもりで。どんな状況であれそこまでたどり着いたのなら真っ直ぐに彼女の方を見て頬を掻きつつ、一つの提案を。)麦姉、あのさ…このことは誰にも言わないでいよう。あ、嫌だったとかじゃなくって!その…大事にしたいから、ぼくたちのだいじな秘密事。ぼくが独り占めしたいんだ。…あ、違うね……二人占めだ。(彼女が秘密にしてくれることを肯定してくれただろうか、否定しただろうか。否定されたとしても、「やっぱり意地悪だ」なんて楽しげに笑っているはずだ。それじゃあ、行くよ。そう声を掛けて穴へ向かって飛び込んだのなら、そこには見慣れた寝室。無事に戻ってこれたことに安堵するのだけれど、隣に居たはずの彼女は何故か居なくて。なんとなしに、彼女の自室にいるのだろうと考えて。一人になって思い返してじわりじわりと蘇る記憶にリアルな夢だったのか現実だったのか、まるで区別がつかない。夢ではなかった、はずだけれど。「ううう、うう〜、!」布団の上でごろごろ、ごろごろ、悶えていたのは誰にもいえない秘密だ。それからというものその1日は彼女の顔を見る度に目にしてしまう唇に顔を真っ赤にしてしまい、若干視線を逸らしながらの会話になってしまうのは致し方のない事か。秘密にはしたいけれど、何とも分かりやすい態度に誰も不思議に思っていなければいいけれど…。)
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