阿久津菜子 松野おそ松
酒豪WEBデザイナー ただのニート
01
あ、おそ松くん。今日は早いね〜、なあにやけ酒?
(しとしとと雨が降る、週半ばの事だった。一目惚れをして買ったおニューの傘をくるくるりと廻しながら帰路を行く仕事帰り。一歩足を踏み出すと同時にぴちゃりと水の跳ねる音がBGMに加わった。嗚呼、ちょっぴりおセンチな気分になってしまうこんな日は冷えた生ビールを身体にいれるのが一番だ。そう思うや否や、家に向けていたつま先をぐるりと方向転換させて、行きつけの居酒屋へと歩を進める。――無論、雲ひとつない晴天だったとてこの女は水の様に酒を飲み下すのだけれど。)こーんばーんはっ。大将、今日も繁盛してるねぇ。(紺色の暖簾を潜れば、鼻腔に広がる良い匂い。どうやら今日のお通しはきんぴらごぼうみたいだ。毎日来ていたって暖簾を潜る瞬間は幸せだと、口許は自然にゆるい弧を描く。忙しく何やら小料理をこさえている大将に促されるまま、カウンターの一番端っこへ腰を下ろした。いつもの特等席だ。そして、これまたいつものように視界に映る赤は)おそ松くん!今日も飲んでるね〜、お昼は何してたの?(ひらりと片手をあげて挨拶したならば、言わなくても出てくる中ジョッキのビールを彼のジョッキへがちんと合わせた。ここへ来て彼の顔を見ることが最近の癒しというかストレス発散というか、兎に角一人酒もいいけれど誰かと話しながらお酒を飲むのも好きだから、彼が居てくれると非常に助かるのだ。嬉しくなるとお酒もぐいぐい喉を通るもので、あっという間に中ジョッキから黄金色がなくなる。矢継ぎ早に次のビールの注文を店内に響かせたあと、くるりと彼の方へ向き直り、)ね、ね。あたし今日ちょっと疲れちゃったんだ。どーせあしたも自宅警備でしょ?この後もう一軒付き合ってよ。お金の心配は要らないからさ。(両手を合わせにいと笑いながらそう言い放った。大人のティーパーティにアリスは参加してくれるだろうか?まだまだ夜は始まったばかり。)
菜子ちゃんじゃ〜ん!いや、まじでさ〜聞いてくんね?あれがこれで〜。
だーーーーっ!!!くっそ!負けた〜!(今日も今日とて残金わずか。悔しそうに顔を歪ませながら態度残念、パチンコ店から出たならしとしとと降る雨に更に眉間の皺を深くして、)ッチ、もうさーこんな時くらいパッと太陽みせて気持ち明るくさせるとかさ、ないわけー?(そんな無茶な天気にも当たり散らしたなら自身が持ってきただろうビニール傘を広げて歩を進める先はもちろんの事、行きつけのあの居酒屋へと続いているはずだ。――暖簾を潜ったなら当たり前のようにいつもの席へと、)たーいしょー!ちょっと俺今傷心中なんだよね、…?いやいや今日は特に!だからさーツケで(お願い!と手を顔の前で合わせ毎度のお願い攻撃は忘れずに、呆れた大将の顔は知らんぷり!―ただただ今は目の前のジョッキの中に注がれている黄金色に白い泡を堪能しようじゃないか。喉を潤すそれに、思わず満面の笑みを浮かべてしまうのだけれど。)カーーッうっめー!やっぱパチンコの後のビールは格別だわ、(先ほどの不機嫌はどこへやら、ビールとおつまみに注文した焼きそばには敵わない。幸せセットを堪能していれば、ふと六人兄弟がトト子ちゃんの次に仲が良いと言えるであろう彼女が、いつもの特等席に腰を掛けているのに気がついて、にんまり笑いながら片手をあげて振って見せたなら、)よっ、菜子ちゃん!いやさ、逆に俺がここ来ないと心配しちゃうっしょ?そんで今日はぷらぷらっとして、んで、コレ。(手を動かしジェスチャーでパチンコを表して、「絶不調で負けたんだけどね。」アルコールが多少入ったからか、先ほどの不機嫌さは見えず、やっちゃったーと茶目っ気たっぷりに笑いながら伝えよう。彼女のジョッキからあっという間にビールがなくなったのを見たならヒュー♪と口笛を吹いて、いいねいいね〜と自身もビールを仰いで。―ん?彼女の方に顔だけ向けて耳を傾け、その提案ににやりと悪い顔をしたなら―)へー社会人は大変だねえ。なんかむしゃくしゃしてんの?ペース早いし。……つーか、…俺がタダ酒断ると思った?(彼女の元にビールが届いたなら自身のジョッキを合わせて音を鳴らす。素敵(むりょう)なティーパーティへの招待状は一つだけだろう?後の五人にはもちろん内緒だ。今日の夜は長くなるだろう、――ごっちそーさん!)
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