飛永雛 赤葦京治
ちびっこマネージャー 冷静な副主将セッター
01
赤葦先輩、チビッ子にちょこっとだけお時間下さい。
(男子バレー部にマネージャーとして入部したのは4月の中旬頃。そろそろ一ヶ月が経過しようとしているのだから、飛永も慌ただしいマネージャーの仕事に慣れつつあった。平日の早朝練習も無事に終え、体操服から制服へと着替えたなら先輩達を見送ってから体育館の玄関を施錠し、鍵を返却する為に職員室へ足を向けた――鍵も無事に返却し、一年の教室へと向かおうとした其の時、監督や顧問の先生に呼び止められたなら告げられる言葉に耳を傾けること数十秒。本日は行われる予定が無かった昼休みのミーティング、其れが行われると今さっき決まったらしい。部員達に伝えといて!と、にこやかに告げた彼等が職員室に戻ったのを見届けた後、飛永は迷わず駆け出した。)…何で今さっき決まるかなぁ!早朝練習の時に決めといてよ!!メールもLINEもチェックして貰えるか分かんないんだから、直接伝えるしかないじゃん!!(始業の鐘が鳴るまで未だ余裕はあるのだが、こういった連絡は早い内に終わらせておいた方が後々楽であることは中学時代に学んでいる。一年は後回しにしても問題はない。真っ先に伝えるべきは三年生だろう。其の後、余裕があれば――何が何でも余裕を作って二年の副主将に伝えれば、一先ず飛永のミッションは完了する筈だ。そんなことを考えながら先ずは三年生の教室が並ぶ階へと急いで向かい、運良くマネージャーである少女達を発見したなら先ほど監督から伝えられた内容を息を切らしなら告げ「…木兎先輩達への伝言、お願いします。未だ時間があるので、ちょっと二年のとこ…赤葦先輩のとこに、行って来ます。」頑張れー、と緩い声援を送ってくれる彼女達に緩い笑みを浮かべては失礼します、と深く頭を下げた後、次に向かうは二年の教室が並ぶ階。先輩のクラスは確か、そう記憶を手繰り寄せながら目的の場所へと到着すれば、)……えっと、一年の飛永といいます。赤葦先輩、いらっしゃいますか?(近くに居た女子生徒に少しばかしドキドキしながらも声を掛けたなら、彼女は笑顔で室内に居た副主将を呼んでくれた。彼女へと謝辞を送れば、此方へと歩み寄ってくれる彼を見遣り――身長差からググッと彼を見上げたなら、)…赤葦先輩、お忙しいところすみません。監督からの伝言でして、今日の昼休み、視聴覚室でミーティングが行われることになりました。次の土日に行われる、練習試合についてお話があるようです。えっと、此の件は雪絵先輩と、かおり先輩には伝えてあります。三年生の方々には、先輩達が回してくれると思うので…二年の方々への伝言、お願いしても良いですか?(一年は任せて下さい。と、握り拳を作って告げたなら、彼の言葉を待つとしよう。全てを聞き終えたなら「…其れでは、失礼します。また、お昼休みに。」緩い笑みを浮かべて其れ等を告げたなら、深く頭を下げて其の場を去るとしよう――手に持っていた荷物を肩に掛けた時、チャイムが鳴り響けば驚きと焦りのあまり「うわー!」なんて叫びを発すれば急いで一年の、自分の教室へと向かうことになろうか。)
ん、大丈夫だけど。ちょこっとだけでいいの?……なんて。
(二年生になってから早一ヶ月。まさか三年の先輩を差し置いて副主将を務めることになるとは思わなかったけれど、なんやかんや主将の滅茶苦茶でけれど真っ直ぐで力強いところや―そしてへなちょこになるところも慣れてきた。本日も早朝練習を終え少々面倒くさくなった主将を適当にあしらいつつ、制服へと着替え終えたなら鍵を返しに行くであろうマネージャーの方へ体を向けて、)ごめん、お先に。(頭を下げて、先にと途中まで先輩と一緒に歩を進めながら、自分の教室へと向かおうか。先輩たちと別れ、いつもの教室、自分の席へとついたなら慣れたように授業の準備を、と。―もう何年も続けてこの行動をしているので慣れるのは当然なのだろうけれど―今日もいつも通りの日常が始まる、という考えは後数分で違うものになるなんて思いもしなくて―。)…ん?飛永…、て(女子生徒に呼んでるよー、と声を掛けられたなら見知った名前にそちらの方に一度顔を向けて彼女の姿を見つけたならほんの少し目を開いて。立ち上がり彼女の方へと歩みよれば呼んでくれた生徒にお礼を告げ、彼女に向き合おうか。―視線は下の方になってしまうけれど、自分・周りに比べても小さな彼女。バレー部の大きい男たちに囲まれて大丈夫だろうか?と心配していた時もあったけれど、マネージャーとして一生懸命サポートに回ってくれている姿をよく目にし、今では心配ではなく純粋に尊敬している。何より、彼女の作るおにぎりが今では部員たちの中で必要不可欠になっていることだろう。―もちろん、赤葦にとってもなのだけれど。綺麗な三角おにぎりの他に偶に作り出される少し不細工な三角おにぎりが、彼女の努力を垣間見えて一つ一つ大事に美味しく頂いている。―と、そんな思考を張り巡らせて0.5秒間。首を傾げて「どうしたの?」と尋ね彼女の言葉に耳を傾けよう。)俺は平気。飛永の方が大変だったろうし、…昼休みミーティング?……急だね。まぁ、練習試合のことなら仕方ないか。了解、二年には伝えとく。…、(一人で大丈夫だろうか…?そんな心配が過るけれども、力強い握り拳を見たならば任せよう、と口元を緩めたなら「じゃあ、飛永に任せる。一年に連絡お願いします。…また、昼にね。」と告げよう。――チャイムが鳴り響いたなら慌てた様子の彼女に「転ばないように気を付けて、」と伝えるも彼女に声は届いただろうか?彼女を見送ったならその小さな背中に目を細めて――。クラスメイトにあの子誰なの?と聞かれたなら自信をもって答えるはずだ、―彼女はバレー部の自慢のマネージャーです。)
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