飛永雛 赤葦京治
ちびっこマネージャー 冷静な副主将セッター
02
う、わ…赤葦先輩、叫びそうになるぐらい嬉しいです。
(早朝練習を終えた後、監督や顧問の先生から託された伝言は一限が始まる前に先輩マネージャーさん達と副主将に伝えることが出来た飛永は、とても遣り切った表情をしていた。同級生である一年生達には一限を終えた直後に各クラスへと赴き、一人一人とっ捕まえては昼休みにミーティングが行われることを伝えていった。そうして幾つもの授業を受けて迎えた昼休み、飛永は手帳やメモ帳、筆記道具とお弁当箱が入ったトートバッグを手にすれば先ずは職員室に向かい、顧問の先生からミーティングで使うプリントを受け取ったなら次に向かうは視聴覚室。教壇に先程のプリントを置き、隅っこの席に着けば昼食開始。同級生や先輩方が集まる頃にはお弁当も空になっており、其れ等を片付けてはマネージャーさん達や先輩方が昼食を摂っている間、今しがた教壇に置いたプリントを一枚一枚、先輩方や同級生へと配っていくのだろう。同級生がプリント見遣って不思議そうな顔をしていれば、)土日に行われる練習試合の、大まかな流れだよ。試合の前には、一緒に練習もするし…スムーズに進める為に、色々と書いてんの。細かいことは、先生や監督から言われるだろうから大丈夫だよ。(緩い笑みと共に其れ等を告げたなら、顧問の先生と監督が遣って来たものだから彼等に頭を下げ、部員達に配って残った数枚のプリントを顧問の先生へと渡すのだろう。ほんの少しして始まったミーティングは合同練習からの練習試合、其の大まかな流れの再確認、といったところだった。マネージャーは相手校の対応は勿論のこと、サポートやフォローをしなくてはいけないので普段よりも大忙しになることを先輩マネージャーさんに伝えられたなら「…あ、足を引っ張り過ぎないように気を付けつつ、頑張ります。」と、ドキドキしながらも返すのか。昼休みもあと少しで終わる頃、ミーティング終了。解散。其の声が掛かれば彼方此方から挨拶が飛び交い、部員達は視聴覚室を出ていくのだけれど――顧問の先生に呼び止められたなら荷物を持って彼の元に向かい、差し出された包みを見遣れば思わず感嘆の声を漏らしてしまった。先生が差し出してくれたのは先輩マネージャーさん達や部員達が普段から着用している練習着とジャージで、他の一年は早い段階で其れ等を貰っていたのだが、小柄過ぎる飛永のサイズは品切れを起こしていた為に今の今まで体操服で部活に臨んでいた。嬉しさを隠すことなく表情に出せば先生に感謝の言葉を告げ、練習着とジャージを受け取ったなら練習着とジャージをぎゅー、と抱き締めてしまおう。良かったねー、と先輩マネージャーさん達に声を掛けて貰えたなら表情を緩めに緩めて。)はい、すっごく嬉しいです!何か、何だろ…やっと、皆さんと同じ場所に立てた……お邪魔出来たみたいで、本当に嬉しい。(嬉し気に、気恥ずかし気に笑いながらも彼女達へと言葉を送っていき、ふと視界の片隅に副主将の姿が移り込めば視線を其方へと向けるのだけれど、飛永の表情はきっと、緩み切った侭だ。彼女達と、彼を見遣れば「多分…今日とか明日とか、すっごくにやけてると思うんですけど…えっと、生温かく、見守ってやって下さい。」そう告げれば深々と頭を下げ、笑いながら退室を促す先生や監督にも頭を下げたなら教室へと向かうとしよう。)
…そういう嬉しい叫びなら大歓迎です。
(マネージャーである彼女から伝言を託された。もう少しで始業が鳴る忙しい時間帯にわざわざ出向いて伝えてくれ、彼女に一年への伝言は任せたとお願いしたのだから自分も責任を持って二年の部員に伝えなければ、と思うことはごく自然なことだろう。きっとメールやLINEでは確認されないのではという心配からの直接伝言であるはずなのだから自分もそうするべきだと一限を終えてから各クラスを訪れ、ミーティングの件を伝えて。全員に伝えたなら任務完了だ。―そうして迎えた昼休み。飯だー!と騒ぐクラスメイトを呆れた目で見ては「今日はバレー部のミーティングだから。」と念のためにと筆記用具と昼食の入った袋を手にして、途中で一緒になった同級生と共に視聴覚室へ。ぽつぽつと人が居て、近くにいた先輩に「遅れてすみません、」と一声かけてあいている席に着こうか。昼食をとろう、とした時ふと隅の席にいた彼女が視界に入る。皆ご飯を食べ始めたところという段階であるが、彼女だけは弁当を空にしていた。ああ、いったいどれだけ早くから準備してくれていたのだろうか、どれだけ気を配ってくれているのか、―本当にこの子は…真面目で一生懸命で、)―ありがとう飛永。(配られたプリントを受け取れば目を見て伝えよう。たくさんの思いをこめた5文字に彼女はきっと気付かないだろうけれど。そっとプリントに目を向けていれば視聴覚室に入ってきた顧問の先生と監督に挨拶をしたなら、少しして始まったミーティングに時折視線をプリントに向けながらしっかりと耳を傾けようか。途中で頑張れマネージャー!という野次が聞こえたが彼女のプレッシャーにならなければいいのだけれど、と小さくついたため息をついて。―大まかな確認を済ませたならミーティングが終わり、楽しみだとはしゃぐ者と緊張するなと各々話しながら視聴覚室から出ていく部員を眺めながら自分も、と立ち上がったなら、顧問の先生が彼女を呼び止めた声が聞こえそちらへ視線を向けた。…あれは…。差し出された包みの中の物を察したと同時に聞こえてきたのは感嘆の声。もちろん、自分の中ではもう彼女は仲間の内にもうすっかり入っているのだけれど、嬉しそうに緩みきった彼女の顔に思わず目を細め笑みを浮かべたなら、「もうすでに緩んでるからね、顔。」どこか楽しそうに、呟いたなら一緒に視聴覚室から退室しよう。―嬉しそうな彼女の横についたなら、そっと伝えよう。)それがなくても、もう同じ場所に立ってたよ。でもそんな喜んでくれるならその練習着たちも喜ぶと思う。…これからもよろしく、飛永マネージャー。
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