飛永雛 赤葦京治





ちびっこマネージャー 冷静な副主将セッター

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赤葦先輩はテスト、余裕だったり…します?


(先週末に行われた合同練習と練習試合は何事も無く、飛永が主将に弄られたりはしたけれど、無事に終わった。早朝練習と放課後の練習、週に一度は設けられている部活動が完全オフとなる日。そんな日を繰り返して迎えた5月下旬のある日、放課後の部活動を終えてから顧問の先生から告げられた連絡事項の内容に、部員達は平然とした者や崩れ落ちたり頭を抱えたりする者と大きく分かれてしまった。中間テストが控えているので3日ほど部活動は休みとなる――部活動が強制的に禁止されること、其の果てにテストが待ち構えていることは人によっては大問題なのだろう。盛大に崩れ落ちた主将が大きな声で発するのは練習が出来ない悔しさと、テストが危ない!というものだった。前者は微笑ましく感じたものだが、後者は笑い事では無い。我が梟谷の大エースであり主将である彼が赤点を連発し、期末テストの結果を経て今学期の成績が目も当てられないものとなってしまったら、試合に出るのも危うくなってしまう。其れを他の部員や先輩マネさん達も瞬時に察した為、今、主将の周りに同級生である三年生の部員達と先輩マネさん達が取り囲んで勉強会の予定を立てているようだった。そんな彼等をちょこっと離れた位置から見守っているのは副主将で、飛永も其の隣で先輩方の遣り取りを見守っていたのだけれど。)―…木兎先輩。中間テストも、期末テストも、無事に乗り越えられると良いですね…と言いますか、多分も何も、先輩方が何とかしてくれると思いますが。赤葦先輩はテスト、大丈夫そうです?(随分と上にある副主将の表情を見遣ればそんな問いを投げ掛けてみるのだが、問うてみてから愚問だったと思い知る。そういう飛永は大丈夫なのかと同級生である長身の少年に問われたなら小さく呻き、)数学で、ちょっと分かんないとこがあるから…テスト当日までに何とかする積もり。(長尾くん良かったら一緒に勉強しませんか、と、口を開く前に、彼は部活仲間であり友人である同級生の少年達に呼ばれ、其の輪へと向かってしまった。頼れる者がいなくなった。クラスメイトや中学からの友人を頼ろうかとも思ったが、彼女達も忙しそうだったことを思い出せばどうしたものかと思案すること数秒。)―……赤葦先輩、とてもご迷惑なお願いをしてみても、良いでしょうか?あの、ちょこっとだけ数学を、教えて貰いたくて……先輩もテスト勉強をしなくちゃいけないのは分かってるんですが、其れは承知の上なんですが……無理を承知で、お願いします。赤葦先輩、数学を教えて下さい。(もごもごと言葉を発していくものの、最終的には彼を見遣った後に深く頭を下げ、真っ直ぐに頼み込んでみよう。お断りされたら少しばかし落ち込みながらも大人しく引き下がる積もりだが、OKを頂戴すれば表情を一気に明るくさせてお礼を告げる筈で。)

…平均は取れてるからとりあえず心配はないかな、て感じ。

 

(先週末はなんとも楽しく騒がしく終わりを告げた。小さな彼女が音駒の主将やうちの主将にやたらと弄られているのをみて面倒な二人に絡まれた彼女に心の中で手を合わせたのだ。助けたら助けたでまたややこしくなりそうだと考えたのもあるのだけれど、あの二人一気に相手にするのは面倒くさい、さらりとそんな考えが浮かんでしまったのだからどうしようもない。そんな楽しい?練習を終え、幾日も挟んで迎えたのは中間テスト前という人によっては地獄のワード。顧問の言葉を聞いて知ってましたと言わんばかりに平然としていたのだけれど、中には崩れ落ちる者もいて、それが近くに居た同級生も含まれて、うわっと顔を引き攣らせれば「あかあし〜」と恨めしそうに涙ながらに足を掴もうとしてくるのだから「本当やめてください」と敬語で拒否の言葉をぶつけるのだ。更には、主将まで大きな声で危機的状況にいることを報告するものだから深い深いため息をついてしまう。さすがに三学年の勉強を教えることはできないため、同学年の先輩たちに任せてしまおうと少し離れた位置で見守っていたなら隣にいる彼女の言葉にちらりと顔を向けて、)…うん、本当に。先輩たちがなんとかしてくれるだろうし、何より、あの人バレーの事になれば色々頑張れるだろうし、やるときはやる人だから、あんまり心配はしてないかな。俺は……どう思う?(ふっと冗談めかしてそう聞いてみるのだけれど、すぐに「冗談、俺は大丈夫かな。」と答えてみせて。逆に問いかけようかと口を開きかけたその時に自分よりも長身の後輩から同じ質問が出たのだからそっと閉じ。今は彼と彼女の会話に耳を傾けて、。彼が呼ばれてその場から去っていったのを見送ったなら、彼女の顔を見て、ほんの少しの沈黙。申し訳なさそうに伝わる言葉に微笑みを浮かべて、)…はい、なんでしょう飛永さん。(楽しそうにわざとらしくさん付けをして問いかけたなら、)俺で良ければ、喜んで。数学なら教えながら自分も基礎固められるし無理なんかじゃないから、…俺でいいなら先生させてよ。飛永にはいっぱい助けられてるから、今度は俺が助ける番。(深く下げられた頭に、上げなさいと言いたげに優しくぽんぽん叩くのだ。明るくなった表情をみて安心したなら、)見てほしい時に連絡して、時間ならいつでもいいから。ね。