飛永雛 赤葦京治





ちびっこマネージャー 冷静な副主将セッター

07

今、赤葦先輩が神様か仏様の生まれ変わりだと言われたら…私、信じそうです。


(無理を承知で、断られる覚悟で数学を教えて欲しいと副主将にお願いをしてみたのだけれど、すんなりと了承して貰えれば飛永が浮かべる表情が喜色に満ちたものになってしまうのは当然のこと。頭を撫でられた後に告げられた優しくも温かみの帯びた副主将の言葉はまるで神様か仏様のようで、心の中で手を合わせながらもペコペコと謝辞を述べつつ彼に向けて何度も頭を下げるのだろう。中間テストを控えている為、梟谷学園の部活動が全面的に禁止となる前夜、自宅の自室にて数学の勉強をしていた飛永は本気で危ういと思われる部分をチェックし、未だ寝るには早い時間帯に副主将へと『赤葦先輩、こんばんは。夜分遅くにすみません。数学ですが、明日の放課後…図書室で教えて貰っても良いですか?』という内容のメッセージを少しばかし緊張しながら送り、了承を得られたなら感謝の言葉とちょっとした雑談の後に『おやすみなさい』と、ぽってりとしたヒヨコがお布団に潜り込んでるスタンプを送り、明日に備えて飛永自身も休むことに――翌日は普段通りに授業を受け、移動教室でバレー部の先輩マネさん達と顔を合わせれば、彼女達も主将や他の三年生達と一緒に今日の放課後、図書室で勉強をするらしい。何だか凄いことになりそうだと思いながらも彼女達にエールを送れば其の場を離れ、残りの授業を確りと受けるとしよう。そうして放課後を迎え、クラスメイトである友人達と別れてから直ぐに向かうは図書室で――急いだお蔭で到着した図書室に先客は無く、カウンターに座っているのは司書さんのみ。司書さんである女性へと挨拶すれば隅っこの席へと腰を落ち着け、勉強道具一式をテーブルに置いたなら、副主将が来てくれるまでの間、教科書やノート、プリントと睨めっこするのだろう。少しして他の生徒達の後に副主将が図書室へと現れたなら静かに席から立ち上がり、彼へと深々と頭を下げて。)赤葦先輩、こんにちは。今日は、宜しくお願いします…あ、雪絵先輩とかおり先輩も、木兎先輩達と図書室で…此処で、勉強するみたいですよ。(不要かも知れないがそんな情報を伝え、再度席へと着いたなら数学のプリントを彼にも見えるように置き「えっと、此処が…ちょっと、分からないんです。」と、教えを乞うとしよう。彼が説明をしてくれるなら真面目に聞き入るのだが、最初は理解し辛かった内容も何度か「…此れが、こうなるんです?」「あれ、じゃあ此の時はどうなるだろ…あ、こうです?」等々、確認をしていけば問題の内容も何とか理解出来た様子。飛永は数学に苦手意識があるのだが、其れは内容を理解するまでのこと。内容さえ理解してしまえば、後は問題が無いのだ。基礎問題や応用問題等が纏められているプリントを今度は彼の説明を受けず、自力で解いていくことに――理解さえしてしまえば基礎問題はとても簡単で、応用問題は少し悩んでしまったけれど、何とか解答欄が埋まったなら彼に答え合わせをして貰おう。間違っていれば遣り直すし、全て問題無く解けていれば大きく安堵して。)良かったぁ…赤葦先輩の教え方、凄く分かり易くて助かりました。本当に、有難う御座います。先輩のお蔭で、数学、何とか切り抜けられそうです。あ、私はもうちょっと此処で勉強をしようと思うんですが、赤葦先輩はどうします?(緩く首を傾げてはそんな問いを投げ掛け、彼が帰るのであれば改めて謝辞を述べた後に見送ることになろうか。此処で勉強をするのであれば、二人静かに勉強を進めていくことになる筈。女子マネさん達が飛永達を見てニヤニヤとしているのは勉強に集中していて気付かないのだけれど、彼女達や、三年の先輩達の存在に飛永と副主将が気付くのは、室内に主将の騒々しい声が響き渡った時だろう。)

…ちょっと、そんな偉い人なんかじゃないからね。信じないで。

 

(ペコペコと頭を何度も下げる彼女が妙にツボに入ってしまって、ふるりと肩を震わせながら「頭下げすぎデス、俺がなんかいじめてるみたいになっちゃうよ。」とツッコミを入れようか。―それから、自室にて自分のテスト勉強を行っていれば震えたスマホ。メッセージの着信に気が付いたのならその内容を確認して口元の力をふっと緩めよう。一生懸命な後輩のためにと開けた予定はどうやら早いうちに埋められるようだ。『こんばんは、連絡ありがとう。大丈夫、うまく教えられるかわからないけど。よろしく』了承の意の返事を送信したのなら、合間に勉強しながら届くメッセージに癒しを感じる事になるのだけれど。最後になんだかほんわかとする彼女らしいスタンプをみて、「おやすみなさい」と彼女に届くことはないけれど無意識的に小さく呟いて自分も本日は一区切りにと体を休めることにしよう。―その翌日はなんだかよく休めたようなすっきりとした目覚めから始まり、部活動が全面的に禁止となっているのだからその点では体が鈍ってしまう恐れはあるけれど、それ以外はなんともいつも通りの学校での日常を過ごしている。ふと、メッセージにて『あかあしたすけてくれ、今日勉強会があるんだ!!バレーもしたいが〜…』と魂が口から出ている梟のスタンプを連続で送ってくる主将には呆れとともに『バレーと俺たちの為に頑張ってください木兎さん』と投げやりなエールを送ったのなら、ポコポコと連続で通知を伝えてくるスマホに眉間の皺を作り上げ通知OFFにしたのは自分のみぞ知る。―そうして迎えた放課後。予定よりも長引いた担任の話に急ぎ足で行くのはもちろん図書室。入る前にそっと一息ついてゆっくりと入室しよう、さて、彼女は―?既に勉強道具を広げて座っている彼女の姿を一に確認して立ち上がった彼女に手をゆるりと振って見せて、)飛永、こんにちは。いや、ごめん…遅くなっちゃって。…こちらこそ、いい先生になれるか自信はないんだけど今日はよろしくお願いします。…、ああ…そういえば木兎さんから連絡きて勉強会やるとか嘆いてたけど…ここでやるんだ。図書室だから騒ぐ心配はないだろうけど、居ない内にやっちゃおうか。(主将の嘆きっぷりを確認しているからか、少し心配になりながら席に着こうか。自分の勉強道具を広げながら「わかんないとこある?」と彼女の顔を見ながら問いかけて。プリントを確認しながら、分からない箇所を見たならなるほどと頷いた。)確かに、ここは分かりづらいところかも。俺も最初つまずいた。ここは、この公式を当てはめて…そしたら…(メモ用紙に公式やら書き入れながら、分かりやすいようにと丁寧に、もしも質問があるのならそれにも一つ一つその都度答えるつもりで説明していくのか。すると、なんて優秀なのか、最終的には彼女の質問に「うん、そうそう。」「合ってる」と肯定の言葉のみとなるのだ。自力で真剣に問題に取り組み始めた彼女を優しく見守りながら自分も問題を片付けていこう。―少ししたら彼女の解答欄が埋まったのを確認して採点するのか。ちょっとした計算間違え等が少しあったものの解き方は合っており少しは分かりやすく教えられてたのかな、と安堵の表情を浮かべて。)うん、数学はちょっとの計算ミスが怖いからそこ気を付けたら問題ないよ。俺じゃなくて飛永が優秀だっただけ、でも助けになれたなら嬉しい、かな。どういたしまして。…じゃあ、お邪魔じゃなければ…まだ一緒させてもらっていい?(お願いします、と少し頭を下げたならふっと小さく笑って見せて、。なんとも癒される静かな空間で二人で勉強を進めていこう。時折彼女の様子を盗み見ていたことに果たして彼女は気付いていただろうか?分からないけれど、今回の数学のテストはいつもよりいい点が取れそうだ、なんて、―さて、しばらくして主将の騒々しい声にパッと頭を上げることになるのだけれど何やらニヤニヤとして此方をみている先輩に主将に注意をしている先輩たちの姿を捕らえたならゲッと顔を歪ませてしまったのは秘密だ。木兎さん、ここ図書室です。そう直接注意を届けよう。そっと彼女の顔を見たのなら肩を竦めてみせ、)木兎さんに図書室なんて関係なかったね、落ち着いた頃でよかった。(こっそり、そんな事を優しく伝えよう。)