飛永雛 赤葦京治
ちびっこマネージャー 冷静な副主将セッター
08
赤葦先輩。テスト、無事に終わって良かったですね。
(中間テスト最終日、テストを終えてから行われた部活動はミーティングのみと短く、軽いものであったが、内容が高校総体――夏の大会、インターハイに関係するものであった為、テストを無事に切り抜けた主将を筆頭に他の部員達も、飛永を含めた先輩マネさん達も自然と集中してしまったのは仕方の無いことだろう。明日の早朝練習からは普段よりも熱の入った内容になるのは明白で、合宿等も控えていることから今の内に消耗品や必要なものを買い足しておこうとミーティングを終えてからマネージャー達の間で話し合い、此の後、梟谷学園の最寄り駅付近にあるスポーツ用品店やドラッグストアが入っている大型ショッピングセンターまで買い出しに行くこととなった。其の話を聞いていた部員数名も買うものがあったり、単に何かを見に行きたかったり、強制的に連行されたり等、様々な理由はあるけれど、買い出しに付き合ってくれるようだ。荷物が多かったら車を出すからいつでも呼ぶように、と言ってくれた監督に対しては先輩マネさん達と共に感謝の言葉を告げ、学園を後にすれば元気いっぱいな主将や三年生の部員を先頭とし、先輩マネさん達や副主将、部員達と共に大型ショッピングセンターへと向かうことに――道中、先輩マネさん達と購入リストの見直しをしたりして歩を進めていたのだが、チェックが無事に終わったなら交わされる会話は自然と本日のテストの内容となり、同級生である先輩マネさん達が二人で話し始めたなら、彼女達の邪魔にならぬよう歩くペースを落として其の輪から自然と外れるとしよう。後方には他の部員達が談笑しながら歩いているのだけれど、其処から少し離れて副主将の姿が在ることに気付いたなら其方へと歩み寄り、)―…赤葦先輩。中間テスト、お疲れ様でした。あ、今日、数学のテストだったんですけど、今までに無いぐらいに手応えがあったんです。先輩、勉強を見て下さり、本当に有難う御座いました。(テストの結果は未だ分からないが、悪い結果にならないのは飛永自身が感じている。表情を緩めては報告と、感謝の言葉を真っ直ぐに告げるとしよう。前方から主将の元気溢れる声が耳に入ったなら微かではあれど笑みを零し、少し間を置いた後に告げるのは、)インターハイ、ですね……木兎先輩達は三度目で、赤葦先輩達は二度目で…私も、他の一年達も、当然ながら初めてのインターハイですが、先輩達の足を引っ張らないようにだけ、気を付けます。とか言ってたら引っ張りそうなので、今まで通り、自分らしく、出来ることをやっていきます。なので先輩も、そうしてくださいね。(自分が言葉にしなくとも、彼は彼らしく在ってくれるだろう。先輩マネさん達も、三年生達も、変わらずに在ってくれると思うけれど、其れでも言葉として外に出してしまったのは、高校に入って初めての大きな大会を目前として、飛永自身、緊張しているのかも知れない。大会が始まれば、苦しくも厳しい試合を勝ち進んでいけば、其の緊張も色んな意味で飛永の力となる筈だ。――そんな遣り取りをしていれば、目的地としていた大型ショッピングセンターが見えて来た。出入り口に到着すれば飛永は先輩マネさん達と合流し、副主将は同級生や、先輩方と共に店を回ったりするのだろう。)
心配事がなくなるとホッとするね。本当良かったよ。
(無事に中間テストを終えることができた。手応えもあり心配するような点も取っていないだろうと心穏やかに、ミーティングへと参加することが出来た。それは心配要素のあった主将も同じだった様子で、自信満々と言いたげに既に居た彼を見て再度胸を撫でおろして。それはほかの部員たちも一緒だったらしく不安げな表情の見えない彼らに安心しながらミーティングに集中しよう。夏の大会、インターハイ―熱のこもる気持ちに集中力はさらに高まることになるのだ。明日からの練習内容や合宿の日程を確認しながら、ミーティングを終えたのなら無茶をしそうな主将に「怪我とかだけはしないでくださいね木兎さん」と忠告を一つ。なんで俺だけとぎゃんぎゃん騒ぐ彼を横目に集まっていたマネージャーたちが視界に入り首を傾げるのか。その理由は話を聞いていたであろう部員たちが「マネージャーがショッピングセンター行くってー」という言葉と共にすぐ解決して。「俺も買いたいものがあるんで一緒に行きます。」ひらりと軽く手を挙げ告げたのなら、遠くから元気いっぱいな主将の声も響いてテスト前の静かな彼に戻ってくれないかなと心に思いながらも他の部員たちも名乗りを上げなかなかの大人数でショッピングセンターへと向かおうか。―主将とテストの手応えの話をして満足げな彼に、「ちゃんと先輩たちに感謝しないとですね。」と真顔で、けれど声色はどこか嬉し気に弾ませながら話をしよう。前方で呼ばれた彼の名前、先に行くぞと掛けられた声にどうぞとシッシッと手であしらったのなら起こりながら前方へ進んでいく後姿に口元を緩めるのか。ふと、彼女の姿を確認し少しお辞儀をして彼女のペースに合わせて足を動かし、)飛永もお疲れ様、やっと体動かせる。…ああ、今日数学だったんだ。いや、俺が見てたの本当最初だけだったし、後は殆ど自分で解けてたでしょ。でも、…少しでも飛永の助けになれたなら良かったって思う。飛永の努力の結果だよ、まぁ、その…正直上手く教えられるか不安だったから、手応え感じられたなら安心した。良かった。(彼女の表情を見て取れた結果に少なからずホッと息をついたのなら、小さく「どういたしまして?」と語尾を上げながら告げるのだ。次いで、「俺も飛永とやったとこ応用で出たから助かったよ。」と自分も感謝の言葉を伝えて。同じく主将の声に目を細め息をついたのなら、彼女の方へと視線を向け、)…インターハイです。大丈夫、そんなこと気にしないで…って言っても無駄だろうけど。大丈夫だよ、自分らしくやってれば、全部…あのばかうるさい人が受け止めて引っ張ってくれるから。心配しないで、…木兎さん程の力量はないけど、俺も居るし。…飛永が、…みんなが一生懸命俺たちの応援してくれてるから、らしく頑張らせていただきます。(彼女を安心させるようにぽんっと優しく肩を叩いたのなら口元をうっすら緩めよう。もちろん、緊張していないといったら嘘になるけれど、それでも、このチームでなら、部員、マネージャー、監督たち、この人たちに支えられているこのチームは強いのだと、確信しているから。辿り着いたショッピングセンターに、「お互いに頑張ろう。」そう最後に彼女に告げ別れたのなら、同級生たちと合流し店内を回ろうか。―彼女に触れた手が熱くじんわりと汗がにじむ。ある意味試合より緊張したのではないか、そんなこと、誰にも言わないけれど。)
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