八神優理 降谷零





甘えたわんこ部下 トリプルフェイス上司

02

ふーるやさん!この格好どう?かわいい?それともバカって思う?


(時刻は22時。鼻歌を歌いながら歩いているセーラー服を着た少女―。と、思いきやよくよく見てみるとそこにはセーラー服を着てもいい年齢をオーバーした女性の姿。他人から見れば、高校生に見えるか、そうではないか…。ただ、現在歩いている場所では不審な目で見られてないことからぎりぎりセーフだと言えるのであろう。さて、そんな彼女が何故こんな時間にこんな服装でいるかというと、捜査の一環である。上から呼び出され、捜査のためセーラー服を着ろなんて命令が下された時は馬鹿げたことを!なんて怒っていたものの、捜査を行っていけばなかなかいける!なんて気楽なことも考えてしまったのだ。捜査も終わり報告書記入のために戻って来れば、明かりがついてる公安部所。この時間ならもしかして…なんて考えれば急いで向かう。向かう途中に着替えようかと悩んだものの、少しこの格好を見てほしいと思ってしまう心のほうが勝ったのであった。)ふーるーやーさーん!居るの絶対降谷さんですよね?!(ばーん!と勢いよく扉を開けて室内を覗けば、やはりそこにいるのはお目当ての彼。嬉しそうな顔をしながら何度も彼の名前を呼んで近づけば、)あ、この格好どうです?捜査のために着たんですが!似合ってます?かわいい?ねえ、かわいい?降谷さんの心をちょこーっとでも動揺させました?させることができたらあたしの中で万々歳なんですが!ちなみに、降谷さんはいつでもどこでもかっこよすぎて、あたしの心を鷲掴みですよ!さっすが降谷さんですね!(ぱちぱち!と、拍手をしながら彼を見て。きっと、彼の心なんて少しも動揺させることができないんだろうと少し寂しそうな顔を見せるのは無意識か。)あ、でも…これで動揺なんてしたら降谷さんロリコンなんて言われちゃいますね!さすがに、あたしそれは…笑っちゃう。まさかの降谷さんロリコンでしたとか…!そしたら、あたしはかわいさに磨きをかけたらいいですか?降谷さん、大人な女性がタイプですとかは聞きたくないですからね。あたし、絶対に大人な女性にはなれないので!まだ、ロリコンの方が寄せれる気がする!年齢的にはアウトだけど!(ふふっと笑いながら彼の机の横へと移動しその場にしゃがみ込み、机の上に顎を乗せちらりと彼を見やるのだ。そして、数秒彼の顔を見て―。彼と目が合ったその時に真剣な顔をしてつぶやくのだ、)零さん、ずっとずっと好きですからね。絶対に惚れさせたるんで…嫌われてないって思えるまでは…絶対にそばから離れませんし、好きだって言い続けます―。覚悟しておいてくださいね?(にこりとかわいらしく笑って見せれば、立ち上がり扉まで歩いて向かおうか。彼が何か声をかけてきたとしてもその歩みを止めることはない。扉を開き一歩外に出た後にくるりと向きをかえて、)今日はもう帰りまーす!あたしは、明日早めに来て報告書書くんで、降谷さんも早めに終わらせて帰ってくださいね!ってあたしが邪魔したような感じになったのは気にしないでいただけるとありがたいです!それじゃあ、お疲れさまでした!後、勝手に名前呼んじゃってすみませんでした!(「お先に失礼します」と、言葉を発しながら扉を閉めるのだ。駆け足で更衣室まで向かい、服を着替える。彼はあきれただろうか…はたまた違う感情か―。なぜあのような言葉を紡いだかは本人でもわかっておらず、自身の中では失敗したと、嘆いてしまうのだ。カバンからスマフォを取り出し、メールの画面を開けば同期である彼に送るのだ「明日降谷さん機嫌悪かったらごめんさーい!」と、そしたらきっと彼が何とかしてくれるなんて考えてしまうのは…彼女の頭がまだまだ子供だからか、)

いや、…いい年齢の女がそれを着ているところは見たくなかったな。

 

(本日の捜査も早い段階で終えることができた。潜入している方の仕事も連絡がないため大丈夫だろう。報告書類を仕上げるため公安部所まで戻ってきたのなら、いつも通り書類に向き合うのだ。――書類記入始めから少し経ちようやく中間あたりかと一息つくべくコーヒーを入れたならじっくり堪能して。これは、いい目覚ましだと気合を入れなおしていざキーボードへ再び手をかけた、その時、何かを感じたのか一瞬でその手を両耳を抑えるために使用したなら、)――、!やっぱりお前か!…おい、八神。何度言わせるんだ、そんな勢いよくドアを開けるなって…、?な、んだその格好。(勢いよく開かれた扉とふさいだ耳から薄らと聞こえてきた聞き慣れた声にはあ、とため息一つに小言を並べようかと呆れた顔で彼女のほうへ顔を向けたなら―、そこには普段のスーツ姿で見慣れている彼女は居らず、世間一般では中学生や高校生が着るであろうソレを着ている彼女が居るのだから一瞬疲れすぎて幻覚を見ているのではという錯覚に陥るのだけれど。次いで出た彼女の言葉にソレを着ている事は事実だと植え付けられる。ある意味動揺させられたのだけれど彼女は気付いただろうか。)捜査のために着たのはわかったが、その格好でここまで来たのか…?…着替えは更衣室か?それなら、まぁ仕方ないと言えど、もう22時だぞ。―一応学生服を着てるんだ、…気をつけろ。(大丈夫だろうけどな。それは信頼故か、それとも。そして当然の如く降りかかる言葉には慣れたように、いつも通り軽くあしらってみせたなら、)おい、俺を勝手にロリコンに仕立て上げるな。大体お前は話を聞かないで突っ走るような所がある!人の話を…、(聞け、という言葉は彼女の笑みを見て、ぐっと飲み込んだ。彼女との経験上、今この場で言っても意味などないだろう、そう思えて、代わりにもう一度小さなため息をついてみせて、少しぬるくなったコーヒーを一口喉に通す。コップを置いたと同時に目が合った瞬間、コトン、コップを置いた音がやけに響いたような気がした。)――、八神(きっといつもと同じならば、いつものように軽くあしらうことだってできただろう。それが出来なかったのは、きっと、何かが違ったから。その何かが、ただの空気の問題だったのか、はたまた、それはわからないけれど。まるで急ぐように、嵐のように彼女は去って行ってしまうのだから呼び止めることも、きっと追うことも許されるものではないだろう。)また勝手に…だから、人の話を聞けと、何度…、……あれじゃあ、学生に告白されたようなものじゃないか。(去っていく彼女の姿はどうあがいても学生服で、何とも言えない感情がぐるりと渦巻くのだ。扉をみつめる顔は、どこか憂いた顔そのものだ。――翌日、何とも言えない感情を部下である彼に当たるような厳しい言動になってしまったのだけれど、その原因が彼にはきっとすぐにバレてしまうことだろう。)