瑞野涼真 伊弉冉一二三
面倒見のいいお兄ちゃんホスト 女性恐怖症ホスト
01
ヒフミ、女性恐怖症でよくやってるとは思うけど…女を見る目、もうちょっと養わねぇとな?
あ゛ぁぁ、つっかれた〜…(今日も夜の蝶となり、色とりどりの花のもとに降り立っては蜜を吸った。―なんて言えば華やかな世界に聞こえるのだろうか。柄シャツのボタンを2つ3つ外し、ただでさえ大きく開いていた胸元を更に大きく開けさせて、ジャケットはソファに投げ捨ててそのままどかっと座った。何年もやっていれば知らないうちにそこそこの立場にいて、多少だらけていても咎めるような人間はそういない。背もたれに思い切りもたれかかって、うーんと大きく伸びをして)今日は数あったのに売り上げ少なかったなぁ…そろそろリンちゃん辺りに媚びとくか…っと、ヒフミ。お疲れ〜…、あ!そうだ、ちょっとここ座れよ。そんな時間取らねーから。(天井を見上げぼんやりとしていれば、ホールへと繋がるドアが開いてそちらに目を向ける。するとそこには可愛い弟分の顔が。疲労困憊の表情が緩む瞬間。けれど彼の顔に何か思い出せば、テーブルを挟んだ向かい側のソファを指差す。彼が座ってくれれば居住まいを直し、神妙な顔つきで彼を見つめて)…今日お前の客、枝連れてきたろ?真面目そうな眼鏡かけた女の子。…あれ、ちょっと気を付けた方がいい。お前が甘くて優しい言葉が得意なのは知ってるけど、勘違いしやすいタイプだろうな。あんまり男っ気無さそうだしよ。…ああいう子は、のめり込んだら金は落としてくれるだろうけど…勘違いしたら手が付けられねぇ。そういう営業がだめとは言わねぇけど、相手は選べよ。加減も考えろ。…またお前が傷つくことになるのは、嫌だからな。(最後は眉を下げながらもなんとか笑顔を作って見せたが、神妙な顔で説教じみたことを言ってしまった。どうもこの弟分には過保護になってしまうからいけない。腕を刺されたと聞いたあの時の、あの寒気。もう二度と、感じたくはなかった。…が、しんみりな空気は自分にも彼にも似合わない。ジャケットを肩に掛ければゆっくりと立ち上がって)さぁて!話は終わりだ。…腹減ったなぁ…。ヒフミ、着替えたらラーメン食いに行かねぇか?奢ってやるよ。(愉しげに笑いかければ、欠伸をかましつつロッカーの扉を開ける。彼の返答次第では、最近できたという美味い塩ラーメンの店に連れて行ってやろうかと思案しながら。)
いや〜俺っちも気をつけてるつもりなんだけどねっ!あー…大変っスね〜。
(お疲れ様〜、そんなやり取りが聞こえすっかり夜も更け子猫ちゃんも帰り男だらけの場所になったのだけれど、伊弉冉にとってはなんて心地の良いものか。緩む気持ちにふああ、と大きな口を開けて欠伸を一つ。仕事を終えてはいるが、スーツを着用している今はまだ女性を恐怖の対象でなく子猫ちゃんと思えているのだから気持ちが緩み切っているわけではないのだけれど、やはり心の奥底で女性がいない空間に安心してしまっている。従業員とすれ違えば「お疲れ様でした」と声を掛けながら早くこのスーツを脱いでしまおうかとホール奥へと繋がるドアを開いたのなら、そこには入店当初からお世話になり尊敬している先輩が居たのだからパッと顔を明るくさせ嬉しそうに顔を緩ませるのか。)涼真さん、お疲れ様です!…?はい、あ、僕何かご迷惑をおかけしてしまったとか…(なんとなく、空気が楽しい話をするようなものではないということは察して。考えながらも、彼の話を聞かなければと向かい側のソファへと腰を掛け姿勢を正し、真っ直ぐに見つめたのなら時折相槌を打ちながら彼の話を聞くのだ。)…ああ、眼鏡の、ケイコちゃんっスね。大人しくってこういう店来るの初めてだって言って、…へ、?――涼真さん…、ふふ、ふ、あいや、すんません!涼真さんずっと僕の事フォロー入ってくれたり、大事にしてくれて、すっごく心配かけてるんだな心配してくれてんだなと思ったら、なんかめっちゃ嬉しくて。本当に、親友にも先輩にもいつも助けられてて。いや〜僕もまだまだダメですね!ちゃんと気を付けるっス、ありがとうございます先輩(思えばあのストーカー事件の時も頻りに声を掛けてくれていた彼。あたたかい彼には女性恐怖症を治すためにりなんともグダグダになってしまっていた入店当初から気にかけてくれていたのだ、親友と同じくらい恩を感じているのは当然の事だろう。嬉しそうに笑ってみせたなら、今度は小さくありがとうと呟くのか。二度目のお礼は彼に届いたかは不明だけれど。立ち上がった彼に聞こえた提案には目を輝かせて勢いよく立ち上がって、)わ、ラーメン!!奢りでですか?!行きましょう行きましょう〜!すぐ着替えます、(やった〜っと大げさに喜びながらロッカーを開けそそくさとスーツを脱いで洒落こんだ服へと着替えながら、)あ、りょまさん、俺っち大盛でもいー?てかさ、これってこれってご指名じゃん?デートじゃん?めっちゃテンション上がるやつ〜(男二人でラーメン。そこにはロマンチックのかけらもないけれど、確かな楽しい時間があることは確信している。だって相手は尊敬している大好きな先輩だ。きっとどんな子猫ちゃんにも敵わない。彼の着替えが終わるのをまるで忠犬のように待ったなら、楽しそうに笑みを浮かべて―)そんじゃ、りょまさん案内よろしくでーっす!(ぴしっと敬礼を行い、まだまだ浮かれ気分は取れそうにない。彼と肩を並べたなら、いざ、男二人でラーメン屋へ、3、2、1、GO!)
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