リズベット・マルティン レイヴン





「護り人の集い」 「天を射る矢」

04

設定/関係性:ユーリ、フレンとは幼馴染。カロルとは顔見知り程度だが彼に対して悪い印象は抱いていない様子。レイヴンとは共に食事をしたこともある知人であり彼の腕は信頼しているが褒め言葉については信頼していない。「それ、どーせ誰にでも言ってんでしょ」といつも聞き流している。その他、エステリーゼやリタなどの他メンバーについては顔を見たことがある程度の初対面である。

凛々の明星さーん、できればヘルプ来てほしいでーす!切実に!


(ねぇ、リズは初恋っていつ?と、徐に聞かれたのは船の上でのことだった。早朝の澄み渡る空気と青々とした海を切って進み、船の欄干に頬杖をついて後ろへ流れて行く景色を眺めていると、年の近い女性が歩み寄ってきた。隣へ発った彼女は、己の表情を見てそんなことが気になったらしい。「そういう顔してた?」「してたわよぅ。アンニュイな顔しちゃってぇ、例の彼のことでも考えてたぁ?」零した苦笑に対してしっかりと自信を持った声がニヤニヤ顔で彼女はそう言った。図星だ。居心地の悪いくすぐったさに何も言えず、押し黙ると「で、初恋はいつ?もしかしてその幼馴染くんかにゃあ?」と答えを催促する彼女が面白がっているのは明らかだ。「教えない。勝手に想像してな」と半眼になり突っぱねて踵を返すと背後から「ケチー!」なんて聞こえてくるが気にしない。――父が纏めるギルドに入団して5年ほどになるリコという名を持つ彼女とは友達のようなもので、サイドポニーにした金髪のロングヘアが眩しいきゃるんとした容姿は男性ウケが良さそうだ。そんな彼女は人の色恋沙汰が大好きでその手の話題には大変敏い。己の初恋などいつだったか、そもそもしたことがあったのかどうかさえ定かではなかったが彼女の一言をきっかけに船室の中に据えられているベッドに腰掛け考えると、思い浮かぶのは帝都でのことばかりだった。幼馴染の彼らが二人だけで何かをしていれば仲間外れにされたような思いで間に割って入ったりしていた記憶はあるが、そこにどちらかへヤキモチを妬いたり思いを寄せていたような感覚があったかと言われるとそうではない。ともすれば、今のこれが正に初恋なのではと思い至ると苦笑いを零した。これが、ノードポリカへ向かう道中の出来事。そうしてやるべきことを終え、彼と顔を合わせてからひと月ほど経過しただろうか。ぞろぞろと集団でトリム港とヘリオードを経由してダングレストへ戻るため道中の森を歩くこと暫く。、崖がある方向から微かな地揺れを伴う爆発音が聞こえた。皆が一様に足を止め、その方を見遣ったその折に地面からふわりと若草色の球体が浮かび上がってくる。――エアルだ。視覚化できるほどの濃度になったこの場に長居は良くないと足を速めた。その時、後方から断末魔にも似た悲鳴が響く。後ろを振り返ると見知った顔が二人ほど欠けている。その代り、森の深い影の中から現れたのは3体の魔物。鮮血に濡れた口元で舌なめずりをしながら現れたのを皮切りとするように、周囲に増える荒々しい数多の殺意は容赦なく飛び掛かってきた。この一帯にいる魔物が集まってきているのか、その数は10や20ではない。凶暴性を増したようなそれらは撤退の最中に隙を突かれた人間らの命を奪い、集団の数は半分にまで減った。10人いるかいないかの人数で魔物を蹴散らしながら森を駆け抜け、もうしばらく行けば抜けられるというところまで来たのだが、)うわ、マジでか。皆万全じゃないときにこれは、勘弁してほしいわぁ。(足を止め、苦笑いしながら構えを取る。横から迫ってきたのは巨大な亀のような魔物数体と、付随するように狼型の魔物10体ほど。このまま真っ直ぐダングレストに帰りたいところだが、結界があるとは言ってもこんな土産を持って帰ることは流石に気が引けた。とはいえ分が悪く、この場にいる人数だけでは消耗していることもあり心もとない。ならば、)ちょっと、二人ほどひとっ走りダングレストまで行って応援呼んできなさい。それか道中で戦えそうな奴らがいれば、報酬はウチから言い値で支払うからってことで此処に引っ張ってきて!…魔狩りの剣ぃ?巨大ギルドに言い値で、なんて言ったら幾ら要求されるかわかんないでしょ!そこは却下!っほら早く行きなさい!!ちんたらしてると応援呼ぶ前に死ぬわよあんたら!(戦いながら早口に叫びながら指示を出し、中でも一番消耗し気分を悪くしていたメンバー2人へ駆け寄るとその場から逃がす様に背中を押す。エアルの濃い範囲が広がりつつあるとはいえ、森から抜ければ大丈夫だろうと踏み、駆けて行く二人の背中へ己も背を向けた。さて、一体どれほどの時間で助っ人がくるか分からないがもし都合よく、己が想像している彼らが駆けつけてくれたならば。天を射る矢の幹部がいるパーティなんて、ギルドに所属する者なら嫌でも目につきそうなものだ。もしダングレストへの道中で巡り合えれば、恐らく離脱していった二人は真っ先に声を掛けに行くだろう。そんな一抹の夢のような想いを振り払うように駆け出して生きて守るために戦おう。舞うように、軽やかに)

凛々の明星に俺様も含まれてるかは疑問だけど、まぁリズベットちゃんを助けられるならなんでもいいよね!

 

ちょっと青年…今日はやけに俺様に優しくなーい?(いつもの調子でおちゃらけていればロングでサラサラな髪を持っている青年にいつもは冷たく適当にあしらわれる所、呆れた様子なのは変わりないがどこか雰囲気柔らかく対応されたのなら何だか調子が狂ってしまう。もちろん、冷たくあしらってほしいなんていうマゾヒスト心は芽生えてはいないのだけれど。あまりにも慣れないことに思わず口元を引き攣らせてしまった。そして冒頭の言葉をつい滑らせてしまったのだけれど、怪訝な表情を浮かべた相手に慌てたように「あ、ほらなんか機嫌良さそうだし?」なんて付け足して、―何か思い当たる節があったのか複雑な顔をした青年は「別に、」と頬を掻きながらそそくさと去っていった後姿がやけに印象に残った。それから幾日、ひと月と経過した頃。様々な村やダンジョンに足を向けて、戻ってきたのは慣れ親しんだ町―ダングレストだ。疲れた体を休めるためと消費した道具の補充のために立ち寄った次第だ。少しの滞在となるため時間を決めて各々自由に過ごす事となり、)さてと、俺様も行きますかね〜(ふらふらと特に何をするでもなく歩いているのだけれど、ふととあるギルド・人を思い浮かべる。「護り人の集い」―その中で共に食事をしてくれた可愛らしい知人。そうだ、せっかくなら久しぶりに食事でも!なんて意気込んで伺ったものの、だ。)あらら、リズベットちゃんお留守なのか。(近くに居た者に声を掛けたのならどうやら彼女は留守にしているとのこと。「相変わらず忙しそうで。」予定が崩れがっくしと肩を落としたのなら、疲れた体を癒しつつ決められた時間までゆっくりと孤独の時間を楽しもうではないか。――一人の時間はなんだか長く感じたけれど約束の時間となり、集合場所へと行ったのならちらほらとパーティが集まっていて、良かったなんて「何してたの〜?」とへらへらりウザ絡みといこうじゃないか。案の定「うっさい!」と怒声を聞くことになるのだけれど、それは想定内だと楽しげに笑みを浮かべた。―それから幾分かしてパーティー全員が揃ったのならダングレストを発った。しばらく会話をしつつ目の前に現れた敵をなぎ倒し先へと進んでいたのなら、ふいに前方から具合が悪そうにけれどしっかりと急いで駆けている2人。不審に感じつつも警戒し2人の姿を観察していれば、ふと、1人と目が合った。目を見開いて一目散にこちらへと向かってきたのなら、慌てたように敵意がない事を示しつつ第一に助けを求める声。状況を聞いてギルド名を聞いて、思わずハッとなる  と同時に駆け出していくと後ろに居た女性陣達めがけて「その2人頼んだ!!」そう叫んだのなら森の方へと駆けていこう。その少し遅れた後にそのギルド名に聞き覚えがあったのか顔を青くした青年たちも森へと駆けてくるのだけれど―。)リズベットちゃん…!…、リズベット!!……!魔物の声、こっちか!(駆けて駆けて見えたその場はまるで地獄のような血の海。それは魔物のものかそれとも―なんて最悪な事をも考えてしまうようなそんな地獄。その奥で軽やかに舞うように、戦う彼女の姿とそして複数の魔物の姿が見え弓を構え彼女の背後にいるであろう魔物に標準を向け――放つ。)お待たせ、リズベットちゃん(自身の攻撃で魔物が一匹地に伏したのなら、敵を射止めた際に見せた鋭い瞳をゆったりと緩めていつもの緩い笑みを浮かべながら彼女の近くへと向かおう。もう大丈夫だよと知らせるために、安心させるように。彼女の近くまで来たのなら、そっと彼女の頭に手を置いて、)あの2人は無事だからね。後、他の子たちの事も出来る限り助けるよ。だから、――(「俺たちにも任せなさいよ。」そういった直後、まるで嵐のようにやってきては魔物に向かって行くロン毛の青年に騎士団の青年。さあ、彼らに彼女、そして彼女の仲間たち、それから―俺。これだけのメンバーが居ればこの場は乗り越えられるだろう。応援に来たのが3人だけではもしかしたら心許なくもしも苦戦を強いられるのなら矢を空に放てば敏いメンバーが此方へ向かってくれるはず。―けれど、。弓を手に援護しつつ「護り人の集い」「天を射る矢」「凛々の明星」の共闘の結果の行方は―きっと、平気。これで終わりだ。)…なんてポジティブがすぎるか。(そうして矢はもう一匹の魔物を貫いた。)