ロゼ アントーニョ・F・カリエド





ヨーロッパの小国 太陽の沈まない国

01

今日も元気に踊っていらっしゃいますわね…会議が。


(“いつも通り、こよなく平和である”―そう結論付けた自分は恐らく間違ってはいないだろう。資料に目を落とし、改めて議題を確認したところで―意味があるのかないのか、強硬に主張される意見に反対する意見、全く関係の無い話題に堂々としたサボり行為の数々。最早この議題は本当に議題であったのかももう思い出せない程、踊りに踊ってフィーバー真っ最中の国際会議、そう、会議中である筈なのだけれど。)……これだけ平和に踊れるのは、まぁ、この際良いのですけれども。どのくらい延長になるのかしら…。(誰にも聞こえない程度に落とした呟きから、己も大概この“会議”を躍らせている皆々と変わらないなと思いはすれど、かと言って某方のように強制的に進行する等という能力も権力も無いのだ。流れに身を任せるしかない。―そう、溜息を吐いたところで―併せて、欠伸が零れた。しかも、かなりの大物だ。声も少し漏れた。ざわついている室内に、どうせ自分に注視している存在はいないだろうとタカを括り過ぎたのかもしれない。淑女らしからぬ、また、会議に参加する一員らしからぬその行動を、隣の席に座る“国”に見られたらしい。)あ。…も、申し訳ございません。つい、退屈で…あ、いえ違いますの。えっと、眠くて…っでもなくて、その。えっと。………失礼いたしました。不真面目、でしたわね。申し訳ありませんでしたわ。(相手がどう思おうと、己の失態であることに変わりはない。あたふたと取り繕おうとした前半はまるっと流すことにして、形だけは流麗な仕草で謝辞を表した。―そんな、ほんの些細な出来事等関係無く、今日も会議は踊りながらも、まだ続いていくのだろう―。)

いや〜毎度飽きもせずにやるわ。あ、ロゼちゃんトマト食う?

 

ははっ、ま〜た始まったわ〜。あ、今落ちこんどる?親分が元気の出るおまじないかけたろか?(ふそそそそ〜☆そんな輝かんばかりでかけたおまじないとやらも、この場ではどうやら通用しないらしい。冷たくあしらわれてしまったのなら、ブーブーと言いながら自分の席へと戻るのか。子分でも構おうかとそちらに視線を向けてみるけれど、なんとも堂々と机に突っ伏して眠りこけている姿を見て思わず苦笑いを浮かべるはず。)あちゃー、爆睡やん。後で叱っとかな。(まぁ、眠くなる気持ちも分かる。分かってしまう程に、この会議は踊りに踊りすぎている。もちろん、無理やりにでもこちらの話をねじ込むこともできなくはないだろうが、白熱してこれはいずれ物も飛んできそうな流れだ。下手に前に出すぎない方がいいかもしれない。それに、今回は特にこれと言って報告するようなことも議題に出すように話題もない。ならば、と飛び交う意見を右から左へと受け流しながら、他国の様子でも見ようかと。立派な眉毛から立派な体格。しずかにひっそりと座っている国からほのぼのとしている国、眠りこけている国、他のお喋りに花を咲かせている国達。本当に様々だな〜と楽しげに見て、次いで隣の席の国へと顔を向ける。そのタイミングと共に浮かべられたのは大きな欠伸で思わずきょとり。お嬢様のような外見からはあまり似合わないようなそれに、まじまじと見つめてしまっていればどうやら彼女もこちらに気付いた様子。)―あ、いやごめんな。俺もじっとみてしもうて、女性に対して失礼やったわ。ふ、…ははは!ロゼちゃんええってええって!だって、親分もめっちゃ退屈で眠いもんな〜!こっちの事関係なしにあっちで盛り上がってるから、ほら、こっちの方みいんな会議なんて聞いてないわ。(あ、俺もや。なんてへらりと笑おうか。楽しげに笑いながら、彼女が拒まずにいてくれるのであれば、自分の話を盛りだくさん会議中にも関わらず語るつもりではあるのだけれど、さて彼女の退屈しのぎになることは出来るだろうか。はたまた―?)