目が覚めると、柔らかい布に包まれながら寝ていた。
「―……よお、起きたか」
ぼんやりしたまま声のした方へ視線を向けると、俺自身と似た風貌をした男が椅子に座って俺を見ていた。すぐに分かった。コイツも俺と同じ、ルガルガンだ。
「とりあえずこれ食っとけ。腹減ってんだろ」
立ち上がり、袋を俺に向かって放り投げてきた。手の甲に巻いてある白い包帯が袖から出てきては引っ込んだ。
そこでやっと、思い出す。ついさっきの出来事や、なんで俺みたいなのがこんなところにいるのかを。そりゃもう、一気に目が覚めるってものだ。慌てて飛び起きてから、まだぎこちないヒトの足を折り曲げてから頭を最大限に下げる。
「さっ、さっきは、あり、ありがとうございました……っ!その、見て分かるように俺野生だしなんもお礼とかできねえんだけど、……その、っむ、!?」
「これ、俺の好きなやつ。うめえだろ」
髪を掴まれて顔を上げざるを得なかった。理由はなんもないけど殴られると思って歯を食いしばったらパンを無理やり押し付けられて。自分の唇と歯で変形したパンを噛むと、笑顔を向けられて唖然とする。……今この数秒で一体何が起こったのか。俺の頭がもう悲鳴をあげている。
「俺はとにかく戦いてえんだよ。どこであれ、相手が誰であれ。……で、さっきはたまたまそこにテメエがいたってだけだ。自惚れんな、助けるために戦ったわけじゃねえ」
突き放すような素っ気ない言葉。でも、俺とこの人しかいない部屋の中、傷の手当てや体に巻かれた毛布は明らかにこの人がやってくれたものだ。たとえあの時、助ける気はなかったのだとしても。俺は確かに今、この人に助けられているのだと身をもって感じた。
「お、俺を連れてって下さい!」
「……あ?」
「俺、あんたにお礼がしたいんだ…! 何だっていい、あんたの役に立つことなら、何でもするか…、」
「ちょっと待て」
伝えたいことが多すぎて、うまく伝えられなくて。詰まりながらも喋り続けていたら、頭を思いっきり捕まれた。ビックリして声がでない。もしかしたら、怒ってしまったのだろうか。無理もない、いきなり拾ったやつからこんなこと言われて……迷惑に、決まってる。
また一人、になるのか。そんな風に思ったらじわじわと涙が滲んできた。助けてもらったのは、この人がいった通り、たまたま…偶然のことだ。また元通りになるだけ。そうやって今まで過ごしてきた。何も問題はない、はずなのに。一度助けられただけでこんなにも心とは弱くなるものなのだろうか。
気を抜くと出そうになる声を噛み締めながら抑える。すると、この人から出てきた言葉は思いもよらないものだった。
「…お前、仲間になる気はあるか?」
「……えっ…?」
「俺は他の誰かに助けてもらう気はさらさらねえ。自分のことは自分でやる。…だが、仲間になるってんなら別だ。お互い助け合う、それが仲間だろ?」
「……ッなります! 俺を仲間にして下さい!」
「フッ、いい返事じゃねーか。いいぜ、来い。他のやつらに会わせてやるよ」
光が見えた。うつ向いていた顔をあげた先には、得意気に笑うこの人の笑顔があって。諦めていた、鬱陶しく思われたと思ったから。でも、そうじゃなくて。この人は俺を仲間にしてくれると言った。
だから俺はひとつ心に誓う。この恩をぜってえこの人に返すんだ。そのためにはもっと強くならなきゃいけない、このままじゃだめだ。強くなって、この人に認められるくらいに。その思いをかたく胸に秘めて、俺は先を行くあの人の背中を追いかけた。
「これからよろしくお願いします、アニキ!」
「…なんだよ、そのアニキっつうのは」
「アニキはアニキっす! それ以外の何者でもねえです!」
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りうちゃとの合作小説です。小説での合作は初めてだったのでとても嬉しいです…!師弟が出会ったときのお話。結構、私の書くときの癖が出てしまってるかな…という気がするのですが、どうなんでしょう…。何はともあれ、とても楽しく書くことが出来ました!改めて、師弟素敵だな〜〜!と浸っております…えへへ。改めてありがとうございました!