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立食会の会場、カクタス号の中央付近に在る大ホールは、混乱の最中にあった。
先刻の悲鳴の後、ホール内で意識を失っていく者が続出しているのだ。
ゆのとミツキも突然の事態に、驚きを隠せないでいた。二人共座っていた椅子から離れ、唖然とした面持ちで立ち尽くしている。
会場のあちこちでは、今も声が上がっていた。
「おい、こっちでも人が倒れたぞ!」
「大丈夫!? 返事をして!」
「何だ、どうなってるんだ!?」
「ねえ、こっちの人もよ!! ゆすっても目を覚まさないの!!」
混乱の最中、何故か船内のスタッフは誰一人として救援に来ない。数人の給仕があわあわとトレイをもったまま、動けないでいるだけだった。
先刻ステージへ戻って行ったカイゼル髭の男は、いつの間にか居なくなっていた。
「あ……」
「ゆのちゃん!?」
突然、ミツキの視界から小さな頭が一つ消えた。ゆのの身体が、ぐらりとバランスを崩したのである。
ミツキが咄嗟にゆのの肩を持ち、支えようとするが何故か力が入らない。
「え、何で……?」
そのままゆのの身体と共にずるずると床にしゃがみ込み、必死にバランスを取る。
ゆのの様子を伺うと、少しだけ顔色が悪いが、表情も呼吸も今は穏やかである。
「何が起こってるの……?」
混乱は更なる混乱を招き、気を失う人は続出していた。
またミツキと同じ様に、未だ気は保っているものの、思う様に力が入らないという者も大勢居るようだ。
「陽たち、大丈夫かしら……」
思わず、この場に居ない仲間達の身を案じる。
こんなことになるのであれば、比較的安全であろう、簡易ポケモンセンターに彼等を預けておけば良かった、と。
憂慮している間、ミツキは自分の意識がどんどん遠のいていくのが分かった。
「あ……、だめ……」
徐々に重力に逆らえなくなり、ミツキはゆるゆると床に倒れた。
ゆのが頭を強打しないよう、腕で支えてやるのが精一杯だった。
ゆのを抱き締める様に倒れたミツキは意識が遠のく中、他のトレーナー達も次々と意識を失い、倒れていくのが分かった。
中には突然の出来事に混乱して絶叫する者も居たが、やがてそれもうめき声に変わった。
意識が途切れそうになる中で、ミツキを始めとしたトレーナー達の、誰もが同じことを考えた。
どうしてこんなことになったのだ、と。
しかし思考は巡らず、ただただ瞼の重みだけが痛烈にのしかかり、それが唯一自身に与えられた感覚だった。
近くで何者かの足音が聞こえたが、何が起きているのか、ミツキには分からなかった。
意識は、途切れた。
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