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30.ネックレス(至いづ)
月日の流れが年々早くなっている気がする。何とか現象って名前がついていたはずだがはっきり思い出すことは出来なかった。
もっとも目下の悩みには全く影響がないから、そんなもやもやは早々に頭の隅へと追いやって、本当に今なすべきことに全神経を集中させる。「贈り物ですか?」と決まり文句を口にする店員さんに「えぇ、まあ」と生返事で応じながらずらりと並ぶネックレスを物色する。
新生MANKAIカンパニーが立ち上がって一周年のとき、監督さんに買ってあげたワンピース。今日はそれに似合うネックレスを探しに来ていた。せっかく買ったワンピースを彼女は「大切に着たい」と言って、何か特別なときにしか着てくれない。もちろん大切にしてくれるのは嬉しい。だけど、せっかくなら贈ったものを身に着けて欲しいのが男心と言うもので。
だからあのワンピースに似合いつつ、普段使いもできるさりげないデザインのものを探しているのだが、これが難しい。
あれはダメ、これはイヤとネットに溢れる女子たちの思いをうっかり見続けてしまったために、どれもこれも自信を持つことが出来ないでいた。
そんな中、先程の店員さんが話しかけてくる。彼女のどんなところが好きですかって……そりゃぁ一緒にいて気が楽なところとか、あの包容力とか、よく動く表情とか、とぱっと頭に浮かんだ中で特に一番好きなところが頭の中で急に輝いた
「……目が、好きですね」
ゲームのやりすぎを呆れる目も、芝居に悩む俺を心配する目も、カレーを見て輝く目も……時々俺を見て照れ臭そうに潤む目も。
逸らされることのないあの色が好きだから、と思えば自然と贈りたい石が決まる。
早くこれを正面から抱き締めるみたいにしてつけてあげたい、とか柄にもないことを思いながらクレジットカードを取り出した。