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41.背伸び(左いづ)

「近づいてくださいよ……届かないじゃないですか」
「これ以上近づけって無理な話だな」
「もう! そうじゃなくて! もう少し屈んでくださいってことです!」
「もう少しってのはこんくらいか?」
「〜〜っ! もう! 左京さんの意地悪!」

 そうやってキスに焦れる顔を見るのが楽しくて、懸命に背伸びする姿が愛しくて。本当はすぐにでも応えてやりたいのに、もう少しこの時間を楽しみたいとつい思ってしまって膝を曲げられない。
 いくら年月が流れたとはいえ、あの頃よりももっと開いた身長差。それを埋めようとするいづみ。その姿を見るだけで心臓がどうにかなってしまいそうだ、と思ったところでようやく膝を曲げてキスをくれてやる。

 もしかしたら彼女から見た自分もまた、キスに焦れているのかもしれない。そう思えば、そんな情けない面を見られたくない思いが勝って、彼女がうっとり瞼を下ろすまで何度も何度も口づけた。






花の壁