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42.雪合戦(千いづ)

 祭り好きが多く集まるMANKAIカンパニー。雪が積もれば喜び庭駆け回る団員が数名いることと、今日がたまたま休日だったことが重なって、また一つお祭り騒ぎが始まっていた。
 ペア対決による雪合戦だ。二人一組となった団員たちがフィールドに四組入場し、三回雪玉に当たったらアウト。木の影や物陰に隠れるのもありという緩いルールで始まったこの合戦。
 当初の予定は「わー」とか「きゃー」とか、楽しげな声が寒空の下にこだまする予定だった。万里と十座、莇と左京のような敵対意識のある者同士が対戦しない間は平和だろうと誰もが思っていた。


――そのはずだった、のに。


「だ、誰かあのカップルをとめて欲しいッス!!」
「ダメだ! 体力自慢の土筆高校ペアがやられた!」
「つーか、あのペア本当にくじで決まったのかよ!?」


 戦場は阿鼻叫喚、いや最早戦でさえない。圧倒的な力で周囲を蹴散らす、とある一組のせいで雪合戦は今や雪玉による制圧へと姿を変えていた。

「監督さん、次。十時の方向からチーム葉大。臣から仕留めようか」
「了解です!」

 チームスパイシーこと千景といづみが次々に雪玉を放る。それがまるで吸い込まれるようにターゲットに当たっていくから恐ろしい。三回という猶予もこの二人の前には意味がなく、いづみの弾が当たれば次に千景が二つの雪玉で連撃してしまう。そんなスゴ技を難なくこなす二人を止められるものはいなかった。

「千景さん、うしろ!」
「問題ない。ほら、ね?」

「監督さん!」
「任せてください……よっと!」

 背後を取っても、死角を突いても、息ぴったりに支持を送り合って敵を仕留めるチームスパイシー改めチームスナイパー。
 絶対にチーム決めのくじに細工がしてあったのだろう、と思う屍たちは、ただ冬の寒さに耐えながら仲間が増えていくのを眺めるほかなかった。





花の壁