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49.ハチミツ色の(十いづ)
空気が乾燥してきた。そろそろのど飴を常備しておかなくては、とスーパーの棚を物色する。ハーブにこだわったもの、ビタミンが豊富なもの、味のバラエティに富んだもの……。いろいろあって目移りしてしまうと思ったのも束の間、ある商品を見つけた瞬間、それをすぐさま手に取った。
会計を済ませエコバックの中にしまったそれを店の外で取り出す。決め手となったのは百パーセントハチミツで作られたと謳ったパッケージ。個包装をほどくとハチミツ色の飴玉が姿を現して、それを口に放ることはしないで冬の遠い太陽の光に透かして見る。
「……意外と茶色い」
それもそうか、と納得する。火を通しているんだから茶色く変色して当たり前だろう。少し考えればわかることなのに、ハチミツ色を想像すると反射的にあの瞳を思い出す。
光を全部吸収して、貪欲に役に食らいつく。鋭いのに優しく光るあの瞳。
「――監督? 何やってんだ、こんなとこで」
「……! じゅ、十座くん!」
思い浮かべていた声が降りかかり慌てて掲げていた飴玉を下げる。
しかし甘いもの好きの目は誤魔化せなかった。好物の気配を敏感に察知した彼の瞳は爛々と輝いている。
「……ふふっ! 十座くんも食べる? ハチミツのど飴」
「あざっす」
彼を思い浮かべて買ったハチミツ色の飴玉を彼と一緒に食べる冬の帰り道。これがまた癖になりそうだったから、この袋がなくなったときには一緒に買いに行こうと思った。