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69.回復する(ますいづ)
「雑炊作った。食べられる?」
「ありがとう……早く良くならないといけないもんね、食べるよ」
うっかり体調を崩してしまったいづみの元に真澄がやって来た。
はじめは、今は相手にしてあげられないんだけど、と失礼なことを思ってしまった。いつもの調子で愛を囁かれてもうまく付き合ってあげられる自信がなかった。
しかしそんな心配はまるで必要なかった。
彼は冷静沈着に必要なものと最低限のことだけをして、それ以外は部屋から出るようにしてくれていた。
おかげでぐっすりと眠ることができ、体調も幾分回復しているようだった。その証拠に朝はまったくなかったはずの食欲が今は少しだけ戻ってきている。真澄が作ってくれた雑炊の優しい味が身に沁みるようで思ったよりもたくさん食べることが出来た。
「ごちそうさま。美味しかったよ、ありがとう」
「……元気出た?」
「うん、ばっちり。真澄くんの雑炊のおかげだね」
「それ、ばあちゃんに作り方教えて貰った。あと看病のコツとか」
どうりでケアが万全だったわけだ。納得がいったところで次にいづみを襲ったのは眠気だった。腹が膨れたら眠たくなるなんて、これも体が回復しようとしている証拠なのだろうか。
「……ふぁ」
「寝る? いいよ。変な奴が来ないか見張っておくから安心して寝て」
「いや、移してもいけないから真澄くんももう帰った方がいいよ」
先ほどまでの大人しさはどこへやら、急にいつもの調子に戻った真澄に戸惑っていると、彼は「これもばあちゃんが教えてくれた」と前置きして表情を緩めた。
「家族の風邪は移らないらしい。だから俺は大丈夫」