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73.夢うつつ(密いづ)
うつらうつらと意識が浮き沈みする。今自分は起きているのだろうか、寝ているのだろうか。境界線は曖昧だった。
「……カントク、こんなところで寝てる……いつもはオレに寝ちゃダメって言ってるのに」
呆れたような溜め息が聞こえたのと同時に、体がふわり宙に浮くのを感じた。優しく丁寧に、割れ物を扱うように大切に触れられているのが肌でわかる。
それと同時にこれは夢だと思った。まさかあの密が寝ている人間を運ぶはずがない。彼ならきっと寝ている自分を見つければその隣ですやすやと眠るに違いない。
それにしても夢とは言え貴重な体験ができたな、と意識を完全に手放す手前、マシュマロのように柔らかくて甘い声が耳から脳へと侵入してきた。
「あんまり無防備だと、オレでも怒るからね。カントク」