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87.プール(みすいづ)
ロングスカートで下を隠せばいけるだろうか。
いやしかし、彼のためを考えるならスカートで隠したりせずにビキニのみを選んだ方がいいに決まっている。右と左と下、三つもサンカクがあればきっと大喜びするはずだ。
いやいやいや、そうは言ってもそれほどプロポーションに自信を持っているわけではない。せめてロングスカートで露出を抑えて……。
「カントクさん?」
「み、三角くん!?」
「それ、どうしたの?」
「い、いや……えっと……」
懸命に水着のWebカタログを見るいづみの背後からひょっこり顔を出したのは恋人の三角だった。そのことに驚いたいづみは慌ててスマートフォンを後ろ手に隠す。
週末は三角とプールへ出掛ける予定で、せっかくならサプライズとして劇団のみんなと出掛けるときとは別の水着を用意しようと悩んでいたのだが、本人に見つかったのでは意味がない。
しかし今のは絶対に見られたよなぁと冷や汗をかくいづみ。
それに対し三角はどこか不満げな表情だった。
「……さっきのさんかく水着がほしいの?」
バッチリ見られてしまっていた。サプライズ計画がガラガラと音を立てて崩れていく。こうなっては仕方がない。いづみは諦めて白状することにした。
「欲しいって言うか……三角くんに喜んでもらいたくて……」
「……やだ」
「え?」
「オレ、あの水着カントクさんに着てほしくない」
「ど、どうして……? 似合わないかな? サンカクなんだけど……」
その一言に三角はより一層頬を膨らませた。
「サンカクは好きだけど、カントクさんのサンカク見ていいのはオレだけだもん」
だからこっちにしてね、といつの間にか奪い取られていたスマホで三角が指をさしたのは露出の少ないワンピースタイプの水着だった。