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93.初めまして(??×いづみ)
ついに思いが通じた。その実感なく目が覚めたいづみは緩く頭を振る。
昨夜、ずっと片思いをしていたあの人と思い通じ合った、はず。あまりに夢見心地で、果たしてあれは本当に現実の出来事だっただろうかと疑ってしまう。伝えるつもりのなかった言葉を溢してしまって、それを予想外に受け止めて貰えて、それどころか相手も同じ気持ちだったと抱きしめられた。あれは本当に夢ではなかったのだろうか。
自信がなくなって、まずは目を覚まそうと洗面台に向かう。春の朝日はまだ昇り切らず、遠くの空を薄っすらと照らしていた。
まだ僅かに冷える空気に頬を晒し歩く。洗面台に向かう足取りもふわふわとしていて夢の中にいるようだった。早いところ冷水を浴びてしゃっきりしよう、と洗面所のドアを開ける。団員数人が横一列に並んで支度ができるほど大きな鏡。そこに映った一人の女性を見て、いづみは思わず呟いた。
「……久しぶり、いや……初めまして?」
肌に張りがあって、目がキラキラ輝いている。こんな自分見たことがない。今までも恋はしてきたが、そのときの比にならないほど今日の自分は輝いて見えた。そう思うと今度は頬が淡い赤に染まって気恥ずかしい。
恋する乙女は可愛い、だなんて。そう思う自分がまた恥ずかしいのに、見れば見るほど輝きを増す鏡から目を逸らすことができなかった。