「いいから探して、何がなんでも返さなきゃ。···お礼も言いたしい」
あの出来後から数日が経ち、全快した灰原哀は江戸川コナンを引き連れて、自身がうずくまっていた所に来ていた。
「蘭達に特徴を言って返してもらえばいいじゃねーか」
「それじゃあ意味がないのよ」
と、ぶつくさ言いながらも、結局は手伝ってくれるコナンと会話をしつつ、数日前に助けてくれた帝丹高校の生徒を探していた。
「だいたいそいつ部活···」
「あ!あの人だわ!!」
かれこれ探し始めて、日は傾きかけていた時だった。
灰原哀は、目的の人物を見つけると一目散に走って行った。
「あっ、おい!灰原!···ったく、しょーがねーな···」
*
6時限目も終わり、重たい鞄を持ちながら歩いていると、前方から駆け寄って来る女の子の姿が視界に入った。
「おねーさーん!!」
「あ、あの時の子!」
鈴を転がしたような可愛らしい声と、茶髪のボブカット姿に、一瞬にして記憶が蘇った。
元気に駆け寄って来る姿に、全快したものだと安堵の笑みが浮かんだ。
「お姉さん!やっと見つけた」
「え、何。ずっと待ってたの?」
息を切らしているものの、私を見てパッと笑った。
(···可愛い)
私は膝を折、彼女と視線を合わせる。
「えぇ。コレ、···あの時は助かったわ。本当にありがとう」
ハンカチだ。
あの時渡した。
小さな手から、私のハンカチが渡される。
やけに大人びた話し方をするな、と言う印象の女の子だ。
「どういたしまして。もう、大丈夫そうだね。良かった」
「あなたのおかげだわ」
「···、しっかりしてるのね。偉い偉い」
「おい!灰原、いきなり走るなよ」
と、後ろからはこの子の友達であろう男の子が、後ろから追いかけて来た。
「···!」
のだけれど、···私はその男の子に酷く似た人物を知っていた。
「···、工藤···新一···?」
そう、幼稚園時代の、工藤新一に。