小話
- 2020/07/01お隣さん
BW 会話文ばっか
※主人公デフォ名
途中で飽きた
ガタンッ
「あ?」
高層マンションのベランダ。洗濯物でも干している人間がいない限り、滅多に音なんて立たない、そんな場所。鳥ポケモンでも来たのかと何気なく外を覗く。
『!』
「…は?」
リボンを付けた少女のような姿をしたポケモン。名前は何だったか。
「キミってたしか、お隣の」
二部屋しか無い階のお隣さん。いかにも金持ちって感じのマダムの隣にいたポケモンだ。
『かくまってくれ!』
「げ、」
見た目にそぐわぬ低い声と真剣な表情に顔が引きつる。そういえば最初に聞いた声がこいつの声だったな、なんて考えていると、ベランダの扉の鍵が開く音がした。そして、するりとベランダにいたリボンポケモンが部屋の中に入ってくる。
「おいおい不法侵入だぞ」
『わりぃ、追われてるんだ。すぐ出て行くから許してくれ…って言っても通じねえが』
「はぁ…すぐ、出て行けよ。面倒ごとは勘弁だから」
ベランダの鍵を閉め、リボンに向き直ると、少し驚いたような顔をされた。
『お前、』
リボンが何か言いかけた瞬間。家のチャイムが何度もうるさく鳴り響く。
「あ〜っ!!クソうるさいな。おいリボンどっか隠れとけ、追っかけてんのあのマダムだろ」
『あ、あぁ…』
ぽかんとした表情のまま頷いたリボンを背にインターホンのスイッチを押す。
「はい」
「あぁ!アーデンさんのお嬢さん!?そちらにわたくしのミルミルちゃんが来てないかしら!?」
あいつミルミルって言うのか。
「いえ、来てないですけど」
「そう!?あぁ、どうしましょう!」
「いなくなったんですか」
「えっ、ええ、そうなの!もし危ない目に遭っていないか心配で心配で!」
「……今日は、外出の予定があるので、もし…見かけたら戻るように伝えますよ」
「まぁ本当!?ありがとうお嬢さん!」
「はい、では」
カチリ、スイッチを切り、ミルミルチャン、が隠れているつもりらしいソファを見やる。
「おいミルミルチャン」
『オレはそんな名前じゃねぇ』
「じゃあどう呼べって言うんだ」
『好きに呼べ』
「ミルミ、」
『それ以外で!』
「面倒くさい奴だな」
携帯を取り出し、図鑑機能でミルミルチャンをスキャンする。
「お、ゴチミル?」
『それだ』
あやつりポケモン、ゴチミル。催眠術で眠っている相手をさらう、か。物騒なこった。
「で、なんでキミはあのマダムから逃げてんの。まぁ、聞くまでもなさそうだけど」
『じゃあ聞くな……』
溺愛。僕もあそこまでじゃないがオッサンにベタベタ絡まれるから気持ちは分かる。
「メアもいないし、客じゃないし、もてなす気はないけどいいかな」
『迷惑かけてんのはこっちだからな』
「話が早くて助かるね」
『というかお前…』
「話せるよ」
『そうか、』
「聞かないんだ」
『変な感じはするけどな。まぁオレもエスパータイプだし、調子の良いときはテレパシーとか使えたりする』
「そんなもんなんだ」
『人間と喋ろうなんて滅多に思わねぇけどな』
「ふぅん」
あのミネズミに出会ったときなんか質問攻めで最高にウザかったのに。まぁ、話の早い奴は嫌いじゃ無い。
「じゃあ、僕は出かけるとか言っちゃったから出かけるけど」
『は!?マジで出かけるのかよ!』
「ああ言っとけば話がすぐ済むでしょ」
『う、家主がいねぇのに居座る訳にもいかない』
「律儀だな。じゃあ一緒に来る?金持ちマダムに見つかりそうにないとこなら知ってるけど」
『お、お前……いい奴だな』
「げぇ、悪口として貰っておくよ」
▽
「金もってくるの忘れた」
『大丈夫かよ』
「借りを返すときだぜリボンチャン」
『リボン言うな。で、何だよ』
「この街にいるんだ。キミってある程度強いでしょ」
『自分で言うのもなんだが、まぁ…』
「んじゃカツアゲでもするか。その辺でいい気になってる馬鹿でもいるだろ」
『かつ…あげ?』
「あ、イイトコの坊ちゃんは単語も知らないか」
『意味くらい知ってる!お前見た目によらずワルだったのか!』
「ワルって…キミのキャラが分かんねぇよ」
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