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「セックスを前提に付き合ってください」
世の中に、こんな告白の文句があるとは思わなかった。少なくとも、目の前の人物はそんなことを言う人ではないと思っていたのである。
私を呼び出した人物――白布は、緊張しているのか自身の言っていることのおかしさに気付いているのか鋭い目をしていた。まるで羞恥を噛み殺すかのように。指定場所が私の大学近くの公園である理由がなんとなくわかった気がした。こんな話、喫茶店やレストランではできない。
「何で?」
一応私が尋ねると、白布は低い声で語り始めた。
「もうすぐ実習がある」
そういえば、白布は医学部へ行ったのだった。強豪のバレー部に所属しながら医学部へ行った白布のことを周りが持てはやしていたのを覚えている。
「そこで女の裸を見ることになる」
白布の表情がぐっと引き締まる。白布は真剣な顔をして、私を見据えた。
「初めて見る女の裸は好きな奴がいい」
白布は真面目な奴だった。貞操観念も同じく固いのだろう。白布は羞恥に耐えるような表情をしている。それもそうだ。今の発言は童貞宣言と同じである。
「今までしたことなかったの?」
私が尋ねると、白布は毒を吐くように告げた。
「好きな奴がいたからな」
「純粋か!」
私達はもう大学に入って何年も経つ。高校時代は部活に明け暮れたとはいえ、大学に入っても異性との交遊を許さない白布はかなりの堅物に見えた。到底「セックスを前提に付き合ってください」などと言った人と同一人物だとは思えない。一途と言えばいいのか、真面目すぎると言えばいいのか。白布がここまで童貞を貫いてきた責任を、私はとらなければいけないのだろう。
「いいよ」
私が言うと、白布がそわついた表情を見せた。今のは交際に対する了承であってセックスに対する了承ではないのだけど、まあいいか。
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