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 南雲さんとは、もっと自由な人だと思っていた。少なくとも私の元をふらりと訪れて、自身のことを何も探らせない姿からはそう感じられた。

 だが付き合った今はどうだろう。南雲さんの休日の過ごし方と言えば数独をすることだし、綺麗にしている黒髪は所々跳ねている。

「何?」

 私の視線を感じたのか、南雲さんが雑誌から顔を上げた。私のスマートフォンには、南雲さんから予定の招待の通知が来ている。南雲さんは思ったより合理的な人なのだ。でもそうだからと言って、夜の予定をGoogleカレンダーで管理することはないと思う。私の気が乗るか乗らないかは、その予定の招待に参加を押すかどうかで示す。

「流石にGoogleカレンダーに入れることないんじゃ……」

 南雲さんは、もっとムードのあるお誘いをする人だと思っていた。そう思っているのが知られたのか、南雲さんは仄暗い雰囲気をまとった。

「見られたら困る人いるの?」
「そういうわけじゃないけど」

 付き合っているのに、毎度ムードを作ることを要求するのも我儘だと思う。けれどここまで仕事の予定のように管理することはないのではないか。

 南雲さんを言い負かせるような反論もない私は、手を額に当てた。

「その内感想もGoogleフォームで聞いてきそう」
「いいね〜、やる?」
「やらなくていい!」

 南雲さんならば、私の感想に合わせてプレイを都度変えてきそうだ。そんなことをされては、私の責任が重くなってしまう。

 私は想像より即物的な南雲さんと付き合っている。これもまた、悪くないかな。