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※夢要素薄

「僕、振られちゃったんだよねぇ」

 明らかに様子のおかしい五条に、仕方なくどうしたのかと尋ねたのが数秒前のこと。返ってきた言葉に、虎杖達は顔を見合わせた。五条悟といえば完璧、グッドルッキングガイ。そんな男ですら失恋するのか。

「何で?」
「ていうか付き合ってたわけ?」

 ぐいぐい迫る虎杖と釘崎に、伏黒は呆れた顔をしている。遠慮という字を知らないのかと。だが五条も五条で聞いてほしかったのだろう。椅子に座って話す体勢に入った。

「付き合ってないよ。口説こうとしたら失敗した。寮暮らしはダメなんだってさ」
「あー……」

 五条悟の唯一の弱点。それは仕事面である。多忙は言わずもがな、仕事に集中するため高専内で暮らしていることが悪く映ったのだろう。「子供部屋おじさん」という言葉もある世の中だ。自立していない大人はそれだけで悪く見られる。たとえ五条が東京の一等地に家を構えられるような男だったとしても。

「そんなの彼女と会う時だけホテルだの連れてけばいいじゃないのよ!」
「釘崎……」

 釘崎は明らかに体の営みを意識して発言している。まあ大人の付き合いだから間違ってはいないだろうが、もう少し自分の性別に自覚を持った方がいい。と伏黒は思う。

「でしょ? 僕もそう言ったんだけど、一人暮らしもしてない大人は論外だって」

 五条はぶりっこするように両手で頬杖をつく。確かにこの様子を見ると、自立した大人には見えない。

「まあ高専に女連れ込まれても困りますから、いいですけどね」

 伏黒が言うと、「君達もう少し僕の彼女に興味持ってよ」と五条が嘆いた。彼女じゃなくて振られた相手だろうが、と心の中で付け足す。でもまあ、五条がみんなの先生でいてくれるなら安心だ。