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 南雲くんが私に告白をした。普段のように軽薄な態度で匂わすのかと思いきや、「好き」「付き合ってほしい」と言葉にしていたのが意外だった。だからと言って私の答えが変わるわけでもなく、私は南雲くんとは付き合えない旨を伝えた。彼は、すぐに引き下がった。

 その翌日、屋上の片隅にて私は別の男性と向かい合っていた。黒髪短髪にピアス、JCCによく居そうな見た目だ。彼は私に告白をしたが、それは私にモテ期が訪れたわけではないことをよく知っていた。

「南雲くんでしょ」

 私が言うと、彼は簡単に変装をといた。どうやって体型まで変えているのか、一九〇センチ越えの長身が顔を出す。

「ちぇ、バレた」
「それで付き合えても嬉しい?」

 私は呆れた目で南雲くんを見た。私が南雲くんの変装に騙されたとして、私が好きなのは南雲くんではないのだ。それは虚しくならないのだろうか。南雲くんは呑気な笑みを浮かべてみせる。

「君がちゃんと僕だって見破ってくれた今の方が嬉しいかも」

 振られた方が嬉しいなんて変なやつだ、と私は眉をひそめた。南雲くんの突拍子のなさに気を取られて、私は彼の告白をオーケーするより彼を喜ばせることをしていたことに気付かなかったのだ。その調子で南雲くんが諦めるはずもなく、彼はまた翌日私に告白した。でも素顔だったから、まあ及第点だろう。そう思っている私は相当南雲くんに甘い。