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「体調管理ができる人が好き」
それは聖臣が常に言っていることであるし、私の好きなところを挙げる際も一番にそれを言ってきた。私は幼少期を過ぎてから、一度も風邪をひいたことがない。インフルエンザにも、胃腸炎にもかかったことがない。そんな小さな私の長所は聖臣に魅入られ、お付き合いをして結婚することとなった。しかし、その私の唯一の長所すら失われようとしている。
「これは管理不足と違うだろ」
聖臣には、ごめんと伝えた。すると先程の言葉が返ってきた。
「むしろ俺が……」
その際に言いかけた言葉はどのようなものだっただろうか。俺が体調不良にさせたようなものだから、だと本来祝うべき出来事が病気のようだ。それを言い出したら私の発表の仕方もそうなのだけど、今回の出来事にあたって体調の変化は避けられない。
「とにかく、十ヶ月よろしく頼む」
聖臣はまだ少し恥ずかしそうにしながら、しかし芯の通った瞳で私を見た。私はそれに頷いた。ここからは聖臣にはどうしようもできない、私にしかできないこと。そんなことがあるだなんて思いもしなかった。けれど、お腹の子を育てて産むことは私にしかできないのだ。聖臣の子を産むためなら、健康だって喜んで捨てよう。
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