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入学したばかりの時、彼女は俺の術式に強い興味を持った。俺は術式を紹介するより先に、五条家の象徴たる蒼い目について紹介することにした。
「六眼?」
「そう。相手が何考えてるかとかわかるんだよね」
勿論嘘だ。六眼は術式や呪力が見えるだけで、そんなエスパーのような使い方はできない。なのにそんな嘘をついたのは、俺が彼女に気があるからだ。
「俺に隠そうとしてることがあるなら先に言った方がいいよ?」
俺に気があるならば、隠しても無駄だ。そう言いたげに俺は脚を組む。彼女が現時点で俺に少しでも気があるならば、正直に白状するだろう。隠していても無意味だと思うはずなのだから。それとも、この六眼は下着を透かして見えると言った方がよかったか――。
彼女は落ち着かなさそうに手を弄った後、意を決したように顔を上げた。
「ごめん、この間五条のこと狙ってた女の子に連絡先教えたの私」
五条は呆気にとられる。そういえば、この間知らない女子から連絡が来ていた。それは彼女の仕業だったのか。怒りより拍子抜けするような感覚がある。彼女は五条のことなど全く好きではない。むしろ、知らない女子の恋を応援してしまうくらいなのだ。
どうやら彼女をものにする道のりは長いらしい。ほんの冗談で引っ掛けてやろうと思っていただけなのに、自分の彼女への執着の深さを知るはめになるとは、とんだ災難だ。
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