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今日はヘアアレンジをしてみた。特に何があるというわけではないのだが、朝早起きに成功したのと、心に少しの余裕があったからだ。弾んでいる心のままに通学路を歩くと、早速幼馴染である双子と鉢合わせる。二人共私の異変に気付いたようだった。先に口を開いたのは、侑だった。
「今日髪型変えた? 可愛いやん」
口の悪い侑が素直に褒めるあたり、今日は侑も機嫌がいいのだろう。私は素直に褒め言葉を受け取り、編み込みにした髪に触れる。
「ありがと。治は何も言ってくれへんの?」
侑と私の視線が治に注がれる。普段、治の方が簡単にこういうことを口にするものだ。侑の方が意地っ張りで、なかなか素直に人を褒めない。幼馴染であれば尚更だ。
治はじっと私を見た後、頭の裏で腕を組んで歩き出した。
「今日はかわええねって褒めたら、いつもはかわいくないみたいなことになるやん」
なんとも深い考え方だ。私は褒められたらそれで嬉しいし、普段の自分を否定されたと思わないのだけど、治はそう思うらしい。治の方が侑より大人びて見えるのはこういう所なのだろう。
「おお……! その通りやな、治!」
侑は何故か感心している。普段なら治と言い合いをしそうなものだが、やはり今日の侑は調子がいいらしい。
「可愛くない! 今日のお前全然可愛くないで!」
「俺も特に何も言わへんよ」
突然始まった可愛くないコールと、変わらず褒め言葉を言わない治。私は好かれているのかいじめられているのかわからなくなってきた。朝から高まっていたテンションがやや下がる。
「アンタら褒めるか貶すかはっきりしろや!」
叫んで通学路を走る。二人が追おうと思えば余裕で追える速さだろうけれど、二人は追ってこなかった。反省などせず、「女って難しい」と意気投合しているのだろう。普段は喧嘩ばかりのくせに、妙な所で気の合う双子だ。そんな双子の幼馴染をやるのは楽ではない。
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