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 麦わらの一味と海賊同盟を結んだはいいが、ローはまだ麦わらの一味を完全に信用しきったわけではない。同盟に裏切りはつきものだ。麦わらの一味のクルーは全くそんなことを考えていなさそうだが、ローは警戒をとくわけにはいかない。

 そんな中、風呂に誘われた。船に乗ってから何日か誘われなかったのはローを部外者として扱ってのことだと思っていたが、ただ単に麦わらの一味のクルー(主に男性陣)が毎日風呂に入るわけではないかららしい。なんて不潔な一味だ、と思いながらもローはありがたく風呂を頂くことにする。海賊なのだから耐えようとすれば耐えられるが、戦闘などもする中汗を流さないままでいるのは不潔だ。風呂はシャワーでさっと流すに限る。

 ローが風呂に入らなかったもう一つの理由は、水に浸かると力が抜けてしまうからだった。能力者の宿命である。いくら同盟相手とはいえ、他の海賊船で無防備な姿を晒すわけにはいかない。

 ローはもう麦わらの一味のクルーに襲われる可能性は限りなく低いと思っていたが、それでも用心に越したことはなかった。

「おい、お前おれが入ってる間外にいろ」

 ローは名前に話しかける。お風呂に入っている間外で待っていて、なんて小さな女の子のお願いのようだが、能力者なのだから仕方ない。

「私がなんかしたらどうするの」

 名前は平然と尋ねる。この一味の中で、名前は海賊同士の緊張関係を理解しているらしい。その方が話が早い。

「その時はその時だ。現状この船ではお前が一番信頼できる」

 ローが信頼などといった言葉を口にするのは珍しかった。これはローなりにかなり踏み込んだ発言だったのだ。早い話、ローは名前に惹かれている。それを信頼という言葉に置き換えて自らの気持ちをにじませようとした。一方で、名前はこんなことを考えていた。

 一応男女なのに風呂の見張りをお願いするなんて、異性として認識されていないのかな。
 名前にローへの好意があるかは謎であるが、ローを異性として認識しているのは間違いない。とにかくわかりづらい言い方をするローと、二人の間にある海賊同盟という関係。二人が結ばれるまでには、まだまだかかりそうだ。