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 元の世界に帰る方法はない、ということが証明された。もしかしたらあるのかもしれないけれど、それを探すことは難しく、実践することもかなり厳しいだろうということだった。

 レオナ先輩にそのことを伝えた時、先輩は「ま、しょうがねぇんじゃねぇの」と言った。私がツイステッドワンダーランドに来てから三年近い日々が経っている。先輩は相変わらず怠惰だけれど、いつも私のそばに寄り添ってくれた。元の世界に帰る方法も、一緒に探してくれた。その理由を薄々感じてはいたけれど、声に出して言わなかったのは私がいつか異世界に帰ると思っていたからなのだろう。帰ることができないとわかった今、レオナ先輩をとどまらせるものはなくなった。

「お前が好きだ。俺と一緒に生きろ」

 レオナ先輩の申し出は有難いものだった。身一つで飛び込んできたツイステッドワンダーランドに、より強固な関係で後ろ盾になってくれる人がいた方がいいに決まっている。私はこの世界で生きていかなければいけないことが確定してしまったのだ。それでも、私は首を縦に振ることができなかった。

「ごめんなさい。行く当てがなくなったから利用する、みたいなことをしたくないんです」

 レオナ先輩がいれば、私はこの世界で生きていくに困らないだろう。だが、この世界で生きていく手段としてレオナ先輩を使うことはしたくなかった。レオナ先輩が好きだからこそ、そう思うのだ。

 私の気持ちは多分レオナ先輩に知られていただろう。本心とは違う言葉を返す私に対し、レオナ先輩は目を細めた。

「利用してるのは俺の方だ」

 取り乱すことも、どうしてだと聞きただすこともない。あくまで冷静なその姿に、レオナ先輩は私が断ることを予想していたのではないかと思った。

「お前が元の世界に戻れなくなったのは俺のせいだ、って言ったらどうする?」

 私は目を瞠る。レオナ先輩に限って、なんてことは思えない。彼は欲しいもののためなら何でもするヴィランなのだ。私には元の世界かレオナ先輩かを天秤にかけることすら許されなかった。レオナ先輩に歪められたこの世界で、私は生きていくしかない。