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年末のデートと言えばクリスマス、初詣。世間一般的なカップルで言えばそうだろう。だが潔癖症の聖臣を擁する私達カップルは、その「世間一般的」に当てはまらなかった。漸く迎えた年末年始休みに、どこへ行くでもなく部屋の掃除をしている。聖臣の部屋は既に大掃除が終わったのか(はたまた元から綺麗なのか)、今日は私の家に聖臣がやってきて徹底的に汚れを落としていた。エプロンとゴム手袋を手に水垢を落とす姿はまるでプロの家政婦のようだ。
「お前の家の大掃除はずっと俺がやってやる」
私の家の一年間の汚れに驚いた聖臣は、意気込むようにそう言った。それは私一人に掃除を任せておけないということなのだろうけれど、私には別の意味に聞こえてしまう。
「今のプロポーズ?」
「は?」
「だから永遠に一緒に住む的な……」
要するに、「毎日お前の味噌汁が飲みたい」と似たようなことだ。それも随分遠回しであるが、プロポーズには変わりない。聖臣は特に照れるでもなく、スポンジを持つ手を動かした。
「別に年末だけ帰省するのでもできるだろ」
帰省する先が私の家なら、それはもう家族と言っていいのではないかとも思う。余計なことは言わないでおこうと黙っていると、聖臣がおもむろに口を開いた。
「でもまあ、そう受け取ってもらってもいい」
独り言のように言われたそれ。決定づけるような言葉は何もないけれど、私にとってはプロポーズなのだ。
「やっぱりもう一回言って!」
私が言うと、聖臣は「掃除が終わってからだ」と背を向けた。今照れているか聞いたら、怒られるだろうか。
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