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出不精の研磨を初詣に誘ったのは私だった。もう高校時代のように春高を控えているわけでもないのに、年末年始を家で過ごすなどもったいない。研磨は「寒い」「人が多い」など文句を言いながらもついてきてくれた。研磨に少しでも楽しい思い出を作ってもらおうと、私は神社の一角へ誘う。
「おみくじ引こうよ」
研磨と私はそれぞれみくじを引いた。私は中吉、研磨はと覗き込めば大凶だった。無理やり初詣に連れてきて大凶なんて、来なければよかったと言われてしまうかもしれない。研磨の顔を覗き見ると、そこにはゲーマーの顔があった。
「出るまで引けばいいよね」
みくじに人が並んでいないのをいいことに、研磨は何度も何度も引き直す。ソシャゲのガチャではないのだから、そういうものではないと思う。という突っ込みは野暮だろうか。中吉、半吉、凶。研磨の引きはなかなか悪い。
「これでいいや」
研磨はもう諦めたのか、末吉のみくじを手にガチャをやめた。
「大吉じゃないよ?」
「でもいいの」
研磨が笑ってみくじを口元に寄せる。そこには、恋愛運が良いこと、運命の人が既に隣にいることが書かれていた。研磨が恋愛運を見て満足したのかはわからないけれど、私はそうではないかと思ってしまう。
「初詣来てよかった?」
私が聞くと、「よかったよ」と研磨は手をポケットに突っ込んだ。来年この神社を訪れる時、私達の関係性は変化しているかもしれない。
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